「東北の新怪物」盛岡中央・斎藤 涙の準優勝 聖地あと一歩届かずも「盛岡中央に入ってよかった」

[ 2022年7月26日 04:30 ]

第104回全国高校野球選手権岩手大会決勝   盛岡中央2ー3一関学院 ( 2022年7月25日    岩手県営 )

<盛岡中央・一関学院>一関学院に敗れ、涙を流し球場を後にする盛岡中央・斎藤(撮影・藤山 由理)
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 第104回全国高校野球選手権大会(8月6日から17日間、甲子園)の出場を懸けた地方大会は25日、各地で36試合が行われた。岩手大会の決勝では盛岡中央が一関学院に惜敗。「東北の新怪物」としてプロの評価も急上昇中の右腕・斎藤響介投手(3年)は8回3失点と力投も勝利につながらなかった。それでも今大会は全6試合に先発して計650球を投げるなどスタミナもアピール。悔しさはプロの舞台で晴らす。

 信じ抜いた直球は最後まで力強かった。2―3で迎えた8回2死。斎藤は147キロ直球で見逃し三振を奪った。味方の反撃を期待してベンチで声を張り上げたが9回攻撃は無得点で試合終了。東北の新怪物の夏が終わった。気丈に振る舞っていた右腕も試合終了のあいさつを終えると感情があふれる。涙が止まらなかった。

 「甲子園に行けなかった悔いはあるんですけど、ここまで勝ち上がってこられたことがうれしいです。盛岡中央に入ってよかった」

 ノーシードから決勝まで勝ち抜く代償は大きかった。準決勝までの5戦で527球を投じて中1日で先発。「1週間500球」の球数制限まで残り133球だった。それでも打たせて取るような投球はしない。直球狙いだった相手に真っ向勝負を敢行した。2、6回に浴びた計3本の適時打は全て直球。最速148キロを記録するなど123球で10三振も奪ったが、8回9安打3失点で優勝を逃した。

 聖地出場はならなかったが斎藤の功績は色あせない。今大会で152キロを記録し自己最速を3キロも更新。盛岡市立との3回戦で9イニングの大会2位タイ記録となる1試合19奪三振を樹立し、準決勝は高校通算74本塁打の佐々木擁する花巻東を撃破した。全6試合で650球を投じるなどスタミナ面もアピール。一気に今秋ドラフトの上位指名候補に浮上した。

 誇れる準V。裏には母・敏江さん(54)の献身があった。毎回、登板後は整骨院で疲労回復の酸素カプセルに入るため、滝沢市の自宅から30分も車を走らせてくれた。登板前夜の食事は夏バテ防止にいいとされる牛タン。母が「スーパーから牛タンがなくならないか心配でした」と言うほどの量を食べた。

 試合後、進路については「これから考えて決めたい」と慎重な姿勢を示したが、プロを目指すとみられる。岩手の地に刻んだ650球には、続きがある。(柳内 遼平)

 ◇斎藤 響介(さいとう・きょうすけ)2004年(平16)11月18日生まれ、岩手県滝沢市出身の17歳。小3から竹の子スポーツ少年団で野球を始め、滝沢中では軟式野球部に所属。盛岡中央では1年夏からベンチ入りし、2年夏から背番号1。憧れの選手はオリックス・山本。50メートル走6秒5。遠投105メートル。1メートル77、72キロ。右投げ右打ち。

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