【プロ野球・球宴名場面(10)】自由契約から復活!苦労人・山本和範「故郷&古巣」福岡で涙のMVP弾

[ 2022年7月26日 16:30 ]

1996年7月20日、6回に代打で3ランを放った山本はジャンプしながら雄叫びを上げた
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 2リーグ分立翌年の1951年にセ・リーグとパ・リーグの対抗方式で産声を上げ、今年で72回目を数えるプロ野球「マイナビオールスターゲーム2022」が7月26日(福岡PayPayドーム)27日(松山・坊ちゃんスタジアム)に開催される。昭和から平成、令和…巨星たちが数多の名勝負を繰り広げてきた真夏の球宴。野球ファンの記憶に刻まれた名場面ベスト10(スポニチ選定)を紹介する。(所属、球団名、登録名、球場名は当時)

 ■1996年第1戦=7月20日

 その時、福岡ドームは球宴の華やかさとは少し違う感動に包まれた。お立ち台の山本和範が口元を抑え、こみ上げてくる嗚咽を堪えていた。

 「ファンの皆様のおかげです。選ばれるとは思っていなかったファン投票で救援に出場でき、まさか福岡ドームでホームランが打てるなんて…」

 2度の戦力外を乗り越えた苦労人。76年ドラフト5位で近鉄入りも2年間でわずか6安打。戦力外通告を受けた。バッティングセンターに通いながら移籍の機会をうかがい、南海に入団。本拠地移転もあり北九州市出身の地元選手としてファンに愛され、13年間。2億円プレーヤーにもなった。

 だが95年オフに自由契約。入団テストを受け近鉄に復帰した。開幕戦代打弾などで活躍。球宴ファン投票ではイチロー(オリックス)、秋山幸二(西武)に次ぎ3位で選出された。運命の巡り合わせか第1戦の舞台は福岡ドーム。6回1死一、三塁。地元の小久保裕紀の代打で登場。全パ・仰木彬監督(オリックス)の粋な計らいだった。阪神・藪恵壹から会心の一発。ダイヤモンドを回るか中、雄叫びを上げながら歓喜のジャンプ。山本を愛した福岡のファン、パ・リーグのファンたちも一緒に泣いた。

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