“名誉キャプテン”阪神・糸原 矢野監督からの「魔法の言葉」で菅野撃ちV弾「大事な試合で最高の結果」

[ 2021年9月26日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神3ー0巨人 ( 2021年9月25日    東京D )

<巨・神21> 7回1死、先制ソロを放ちナインとタッチをかわす阪神・糸原(撮影・大森 寛明)
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 「伏兵扱い」は失礼なほど、完璧なアーチが東京ドームの右翼席にかかった。7回1死、高橋と菅野の白熱した投手戦の均衡を破ったのは、これが今季2号となった阪神・糸原の豪快ソロだった。

 「たまたまホームランになっただけ。でも、こんな大事な試合で打てて、遥人も頑張っていたし、本当に最高の結果になったかなと思います」

 4月1日広島戦以来、約半年ぶりの一発。軽快にダイヤモンドを一周し、当時はまだ製作されていなかった「虎の金メダル」を初贈呈されると、ベンチは大盛り上がりだ。昨年まで務めた主将は大山に譲ったが、矢野監督いわく「名誉キャプテン」。野手陣のリーダー格としての存在感を、大一番で見せつけた。

 本来の売りは粘り強さと勝負強さ。バットを短く持ち、少し寝かせて構えて広角に打ち返すのが持ち味だ。この打席でも、3球目までに追い込まれながらボール、ファウルと粘り、6球目の内角への150キロ真っすぐを体ごと回転させるようなスイングで、右翼席まで運んだ。

 実は、久々の一発には伏線があった。試合前に矢野監督から「おまえ、今年、ホームラン何本や?」と質問された。指揮官にしてみれば、軽くイジったつもりだったかもしれないが、結果的には“魔法の言葉”に。巨人戦は通算3本目だが、東京ドームでは初本塁打。マルテ、大山ら長距離砲ではないだけに、菅野にとっても痛恨の一打となったことだろう。

 ただ、つなぎタイプでも、後半戦は3、5番を任されている。本人は「チームが勝つことが一番」と、どの打順でもチーム打撃に徹しており、矢野監督も「どこに入れても仕事をしてくれるバッター」と厚い信頼を置く。緊迫した展開の中、ムード―メーカーでもある背番号33が放った決勝弾は、千金以上の価値があった。
(山添 晴治)

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