広島・誠也 崇高なチャレンジ断念し、呼んだ150号 勝利に結びつく決勝弾だからこそ喜べた

[ 2021年4月25日 05:30 ]

セ・リーグ   広島6-3巨人 ( 2021年4月24日    東京D )

<巨・広>5回無死一塁、プロ通算150号となる逆転2点本塁打を放ち、チームメートに祝福される鈴木誠(左)(撮影・木村 揚輔)
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 広島・鈴木誠也外野手(26)が24日の巨人戦で勝利に直結するメモリアル弾を放った。1点を追う5回に左翼上段へ、通算150号となる2試合連続の6号逆転2ランだ。投げては高橋昂也投手(22)が6回途中を3失点(自責2)に抑え、1031日ぶりのうれしい復活星を挙げた。チームは1分けを挟む連敗を3で止めた。

 有言実行の一発だった。王手を懸けた前日「いいシーンで打てたらいい」と語った主砲が、打ってほしい好機で価値ある通算150号。高卒8年目で到達した江藤智に次ぐ同9年目でのスピード達成に「試合に出してもらっているからこそ。僕だけの力じゃない」と歴代首脳陣に感謝しつつ、勝利に結びつく決勝弾を素直に喜んだ。

 「つなぐ意識を持ちながら、四球後だったので積極的には行きたいな…と思っていました。昂也も頑張っていたし、結果が出て本当に良かったです」

 先頭・安部が四球で歩いた1点劣勢の5回だ。1ボールから甘く入った直球を振り抜くと、高々と舞い上がった打球は敵地の左翼上段へ吸い込まれた。メモリアル弾。戸郷をマウンドから引きずり降ろす2試合連続の6号逆転2ランだった。

 決断があった。左足を高く上げて軸足に体重を残し、投球に沿ってアッパー気味にスイングした今春。日本の世界一に貢献し、MVPに輝いた19年秋のプレミア12で、同じスイング軌道の巨人・坂本に話を聞くなどして温め、満を持して習得に努めたものだ。が、理想と現実のギャップは埋まらず断念した。

 「いい部分もありました。でも、打てるバッティングをしないといけないので」

 打撃を究めようと、常に思考を巡らせる。それは、原点回帰できるスイングを「体が覚えている」超一流だからこそ…の崇高なチャレンジだ。ただ貪欲に高みを目指しても、チームの勝利を最優先する姿勢は不変。止める決断もまた尊く、メモリアル弾を生んだ。

 3番に入って2戦連発。佐々岡監督は「誠也が昨日、今日と打って打線がつながった」と目を細めた。それでも鈴木誠は浮かれず、足もとを見つめる。

 「この2試合はいいスイングが数多くできていると思います。でも、いい状態はずっと続かないし、体も疲れて変化する。そこにイチ早く気づき、順応しないといけない」

 勝つためにストイックに打撃を追求する26歳。高性能エンジンに凄みが出つつある。(江尾 卓也)

 《球団年少2番目の150号》鈴木誠(広)が24日巨人戦の5回に戸郷から6号。通算150本塁打を達成した。プロ野球177人目。初本塁打は14年9月25日ヤクルト戦で石川から。広島で通算150本塁打以上は山本浩二の536本を筆頭に16人目。うち795試合目での達成は、96年江藤智の648試合、82年ライトルの718試合、99年金本知憲の734試合に次ぐ4番目。26歳8カ月は江藤の26歳2カ月に次ぎ、74年衣笠祥雄の27歳4カ月を抜いてチーム年少2番目。

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