「積極休養」の大切さ証明した阪神・矢野監督のマネジメント

[ 2021年4月25日 08:00 ]

セ・リーグ   阪神13-1DeNA ( 2021年4月24日    甲子園 )

23日のDeNA戦で、スタメンを外れるも笑顔でナインのシートノックを見つめるサンズ(左)(撮影・北條 貴史)
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 【畑野理之の理論】リフレッシュした効果はテキ面だった。初回、1点を先制して1死一、二塁でジェリー・サンズが右前打。次打者・佐藤輝明の右前打では三塁へ勢いよく滑り込んだ。2回無死一、二塁でも左前打。4回にも右越えに適時二塁打を放った。4打数3安打で大勝に貢献。守っても3回、捕れなかったが戸柱の左翼線の飛球にダイブしていた。

 大事な試合だったと位置づけたい。前日23日はサンズと梅野隆太郎を今季初めてスタメンから外して3連敗となっていたからだ。22日の巨人戦で左ひざに打球を受けて途中交代していた梅野に大事を取らせたのはともかく、開幕から打線を引っ張ってきた5番打者に関しては各メディアなどで賛否両論あった。

 週前半の火曜日の20日から東京ドームで3連戦を戦い、23日は移動日ゲームだった。代打での出番も無し。23試合目での積極休養の是非がクローズアップされ、加えて8回には近本光司に代打山本泰寛、糸原健斗にも代打熊谷敬宥を送り、試合をあきらめたと誤解されかねない采配をみせていた。

 監督の矢野燿大は「どこかで休ませたいというのはずっとあった。1年間戦う中では全員の力が重要なんで」と説明。その試合をあきらめたわけでは絶対にないし、陽川尚将という力のある代わりの選手がいるのも大きい。さまざまな意見や考え方があるが、結果がすべての世界。正しかったかどうかは、この日の試合でわかると思っていた。ならばサンズの走攻守でのハッスルぶりをみれば、矢野監督のマネジメントは間違いではなかったと言いたい。

 金曜日の移動日ナイターからの、翌日土曜日デーゲームはかねて疲労が心配されてきた。02年と03年の監督・星野仙一も「移動日ナイターからのデー、デーってキツいんや」と何度も口にしていた。2年目の03年には土曜日を午後4時開始、日曜日を午後2時開始とする段階を踏む日程を組ませている。疲労によるパフォーマンス低下とならないよう気をつかい、同年のリーグ優勝につなげた。薄暮ゲームと呼ばれる午後4時プレーボールは阪神では05年まで続けている。

 残り119試合も主力選手のコンディションには細心の注意を払うはず。マルテや梅野も休ませながらになるのだろう。いずれも今季最多の18安打、13得点。連敗を3で止めただけでなく、予想される巨人とのマッチレースの戦い方もイメージできた。=敬称略= (専門委員)

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