西武・光成 今度は9回先頭に…悔しい1安打完封 辻監督「背番号13はダメなのか?」西口コーチは3度

[ 2020年9月9日 05:30 ]

パ・リーグ   西武2―0オリックス ( 2020年9月8日    メットライフ )

<西・オ>完封勝利とはいえ終始悔しそうな表情の高橋光(撮影・篠原岳夫)
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 8回まで無安打投球。緊張感を漂わせてベンチに戻った西武・高橋光は背番号13、そして「ノーノー未遂」の先輩でもある西口投手コーチから声を掛けられた。「9回2死までは(無安打で)いけよ」。肩の力が抜け、周囲の雰囲気も和んだ。

 迎えた9回。25人目の打者は代打・西野だった。カウント1―1から投じた106球目は142キロのフォーク。この日初めて快音が響いた。打球が中前に抜けると、悔しさを隠すことなくその場にしゃがみ込んだ。それでも切り替え、わずか1安打で自身4年ぶりの完封勝利。7回1死まで無安打で4勝目を挙げた前回1日のロッテ戦に続く快投だった。

 「悔しいようなうれしいような…。うれしいような悔しいような…。よく分かんないっす。やっぱり2死までいきたかったです…」

 23歳は素直な心境を口にした。4回まで最速152キロの直球を軸に完全投球。5回先頭の吉田正に四球を与えたものの、併殺打もあり8回まで打者24人で抑えた。プロ野球史上83人目(94度目)の快挙達成はならなかったが、相手を圧倒した。

 シーズン序盤のような制球に苦しむ姿はない。きっかけは8月下旬。オフに米アリゾナで合同自主トレを行ったマリナーズ・菊池に言われた言葉を思い出した。「投球時に左足で地面を強く押し、お尻(右でん部)に力を入れ体をうまく使え」。すぐにブルペンでフォームを修正。今月の2試合連続の快投につなげた。昨季は自己最多10勝を挙げた右腕が、ようやく5勝目。原点回帰のフォームで一気に白星を重ねる。

 辻監督は「やっぱり背番号13はダメなのか?」と笑い、西口コーチは「できるものならやってほしかった」と残念がった。「いい感じで投げられたし次につなげたい」と高橋光。首位と7・5ゲーム差の5位だが、大逆転でのリーグ3連覇は諦めない。(大木 穂高)

 ≪西口コーチ 9回2死までが2度、9回完全も延長で…≫西武の西口投手コーチは現役時代に3度もノーヒットノーランを目前で逃している。最初は02年8月26日のロッテ戦。9回2死まで1四球のみも小坂に中安打。05年5月13日の巨人戦でも9回2死まで1死球のみで清水に右本塁打を打たれた。さらに同年8月27日の楽天戦では9回まで完全投球を続けながら0―0で延長戦に入り、10回先頭の沖原に右安打。延長戦で完全試合を逃したのが史上初なら、9回2死からと延長戦の両方でノーヒットノーランを逃すのも史上初だった。

 ≪楽天・涌井に続いた≫高橋光(西)が9回無死から代打の西野(オ)に唯一の安打を許しノーヒットノーランを逃した。代打の安打だけの1安打完封は、8月5日ソフトバンク戦の涌井(楽)に次いで今季2人目。西武では西鉄時代の56年7月7日近鉄戦で稲尾が代打の安打のみの1安打完投勝利(失点1)を記録しているが、完封は高橋光が初めてだ。

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