“名物審判”投手から情報カード没収も…薄れゆく審判の存在感、静かな処置にちょっぴり寂しさ

[ 2018年9月9日 10:00 ]

フィリーズ・デービス(左)からカードを取り上げたウエスト審判員(中央)にヘルナンデスも抗議(AP)
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 球場に設置された電子光学機器の目が正確な判定を保証する。審判員が注目されるのは誤審の時だけだが、機器の進出で誤審が消え、審判員の存在感が薄くなってしまった。

 ところが先週ジョー・ウエスト審判員(65)がニュースになった。フィリーズの救援投手デービスがカブス戦の敗戦処理で登板。ポケットから小さなカードを出した途端、ウエスト審判が飛んできた。現役時代に巨人でもプレーしたゲーブ・キャプラー監督も加わり「相手打者情報メモにすぎない」と説明した。ウエスト審判は耳を貸さず、カードを取り上げ宣告した。

 「野球規則に定める投手禁止条項の“投手がいかなる異物でも、体につけたり、所持すること”にあたる」。カードは情報係が作成し試合ごとに全選手に配布し、開幕時から使っている。審判員の注意、警告は一度もない。「駄目だ。ポケットに入れていいのは雨の試合の時のロジンバッグだけ」とウエスト審判。規則が指す“異物”は投球を不規則変化させるためにボールを傷つけるヤスリやワセリン等を想定していると読むのが常識。ウエスト審判も気になったのだろう。「君たちを退場にしたくない。機構に判断を委ねるからここは引っ込め」

 翌日、大リーグ機構のプレー部門トップ、ジョー・トーリ理事は全球団に「投手の情報カード使用OK」を通達した。トーリ理事はブレーブス監督時代の81年にウエスト審判に体当たりで抗議した。巨漢のウエスト審判はこれを受け止め、監督を退場させた試合後、通路にいた監督と再度体当たりファイトを演じたのは今も語り草だ。

 乱闘仲裁で選手を投げ飛ばし、投手の胸ぐらをつかみ抗議を抑える。現役最長42年の審判歴は愛称「カウボーイ・ジョー」にふさわしい挿話で彩られる。今回の静かな処置にちょっぴり寂しさを感じたが、名物審判も前世紀の絶滅危惧種だ。仕方ないことだろう。 (野次馬)

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