長寿選手多かった86年ドラフト、中嶋は日本ハムで現役継続中

[ 2014年10月23日 12:00 ]

86年の阪急の新入団選手発表。後列左端が中嶋、前列左端は高木

 ドラフトの当たり年、といえば、1968年ドラフト(山本浩司/広島1位、田淵幸一/阪神1位、星野仙一/中日1位、有藤通世/ロッテ1位、山田久志/阪急1位、東尾修/西鉄1位、福本豊/阪急7位、など)、1989年ドラフト(野茂英雄/近鉄1位、佐々木主浩/大洋1位、小宮山悟/ロッテ1位、与田剛/中日1位、潮崎哲也/西武1位、佐々岡真司/広島1位、古田敦也/ヤクルト2位、前田智徳/広島4位、など)、そして松坂世代の1998年ドラフトが挙がることが多い。

 ただ、隠れた当たり年、として押さえておきたいのが1986年ドラフトだ。この年のドラフトは、息の長い選手が多かったことが特徴として挙げられる。

 たとえば、今季、独立リーグのBCリーグ石川で引退を表明した木田優夫(巨人1位)。木田はNPBで実働19年、MLB5年、独立リーグ2年と、25年以上に渡ってさまざまな環境でプレーを続けた。

 2013年に引退し、今年のオープン戦で引退式を行った山崎武司(中日2位)は実働25年。セパ両リーグで本塁打王に輝き、40代で100本塁打を達成するなど、長きに渡って活躍した。

 来季から広島の新監督に就任した緒方孝市(広島3位)は、カープ一筋で実働22年。ほかにも、実働15年以上の選手としては、土橋勝征(ヤクルト2位/実働19年)、飯田哲也(ヤクルト4位/実働18年)、佐藤幸彦(ロッテ4位/実働18年)、八木裕(阪神3位/実働17年)、友利結(のちにデニー友利、大洋1位/実働16年)、藤井康雄(阪急4位/実働16年)、西崎幸広(日本ハム1位/実働15年)と非常に多い。西崎とともに「トレンディエース」の異名で呼ばれた阿波野秀幸(近鉄1位)は実働14年だが、これも息の長い方だ。

 変わり種としては、阪急1位で実働19年の高木晃次。2度の戦力外通告を受けながらも、プロ入り21年目(2007年)にしてFA権を獲得したことが話題になった。左投げの特徴を生かして、長く現役を続けたからこその珍記録だ。

 そんな長寿選手の多い1986年組の最後の現役選手が、日本ハムの兼任コーチ・中嶋聡(阪急3位)だ。今季45歳の中嶋は6月27日の試合で途中から守備につき、実働年数が28年になった。中嶋は横浜に在籍した2003年以外はパ・リーグ球団に所属。パ・リーグ実働27年は、野村克也(元南海ほか)の26年を抜きリーグ新記録となった。

 正式発表はまだだが、来季も現役続行の考えを固めているようだ。もし、中嶋が2015年シーズンも出場を果たせば、工藤公康(元西武ほか)の持つ実働年数日本記録「29年」に並ぶとともに、野村克也の持つ「捕手の史上最年長出場記録」(45歳3カ月5日)も抜いて史上1位に躍り出ることになる。

 こうして見ると、チームの名バイプレイヤーとして活躍した選手が多いことがわかる。前年の1985年組が桑田・清原のKK世代、すぐ後ろの1987年組は春夏連覇を果たしたPL学園高校の立浪和義世代、そのまた後ろには1989年組の前述した野茂世代。アマチュア時代から華々しい活躍をみせたスター世代に挟まれたことでより切実に自らの生きる術を磨いた結果、息の長い選手が多くなったのではないだろうか。これもまた、プロの生き様といえるだろう。

 今年ドラフトされる選手たちは、どんな世代として記憶されるのか。いずれにせよ、1986年組のような、息の長い現役生活を送ってもらいたい。(週刊野球太郎編集部)

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