奈良岡朋子さんナレーションでも第一人者 「おしん」「春日局」「篤姫」などでドラマもり上げた

[ 2023年3月29日 16:45 ]

奈良岡朋子さん(2002年撮影)
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 演劇界を代表する女優で、劇団民藝の共同代表を務める奈良岡朋子(ならおか・ともこ)さんが23日午後10時50分、肺炎のため東京都内の病院で死去した。93歳。東京都出身。劇団民藝が発表した。葬儀は近親者のみで26日に執り行われた。故人の遺志により、お別れの会は行わない。60年以上にわたり、第一線で活躍。舞台や映画、ドラマで幅広く活躍したほか、ナレーションでも第一人者として多くの作品を担当。NHK連続テレビ小説「おしん」では奈良岡さんのナレーションで涙する視聴者も続出した。「おしん」のほかに朝ドラでは「おんなは度胸」「春よ、来い」、大河ドラマでは「いのち」「春日局」「篤姫」で物語をもり上げた。

 「ヒロインの心情を表現する語りでは奈良岡さんにかなう人はいない」とドラマ関係者の間では言われていた。

 NHKアーカイブスでは「篤姫」のナレーションをしている時のことを語る奈良岡さんのコメントが残っている。

 「篤姫のナレーションも私は映像も音声も一切見聞きせずに録音していました」とし「この時もシーンに合ったナレーションを入れるために、ただ活字を読み上げていくのではなく自分なりにイメージしたものを確認しながら進めています。台本から役者さんの演技を想像するのも楽しいですね」と大女優ならではの情感がこもったナレーションが完成した裏側を語っていた。
 
 60年を超える女優生活で多くの芸能仲間たちと親交を深め、後輩たちからは慕われた。舞台やTBSドラマ「おんなの家」シリーズなどでの共演が縁で、杉村春子さんにかわいがられたのは有名。石原裕次郎さんが「最も尊敬していた女優」と公言したほどで、裕次郎さんが勇退した人気ドラマ「太陽にほえろ!PART2」(日本テレビ系、86年11月~87年2月)で女ボス役で出演した。

 美空ひばりさんは大親友で、ひばりさんを本名の「和枝」と呼べた数少ない一人だった。また八千草薫さん、池内淳子さん、草笛光子(89)とはプライベートで「女の会」というグループを結成。さらに黒柳徹子(89)や若尾文子(89)、生前の山岡久乃さんや森光子さんとの親交も深かった。NHKドラマ「水色の時」で共演した大竹しのぶ(65)には実の娘のように接していた。

 民藝同期の大滝秀治さんが2012年10月に87歳で亡くなった後も劇団員たちの精神的な支柱であり続けた奈良岡さん。ライフワークとしていた一人語り「黒い雨―八月六日広島にて、矢須子―」を20年8月6日も新潟で上演。22年2月には渋谷パルコ劇場で朗読劇シリーズ「ラヴ・レターズ」に岡本健一(53)とともに出演するなど元気な姿を見せていた。

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