U2 新譜「ソングス・オブ・サレンダー」 春を予感させる冬の味わい
Photo By 提供写真
【牧 元一の孤人焦点】穏やかだ。少ない音、つつましい音。そこに渋く粘り気のある歌声が乗っている。U2のニューアルバム「ソングス・オブ・サレンダー」通常盤の1曲目「ワン」。そこにメンバー4人の現在の境地がうかがえる。
アルバムは彼らがこれまで発表してきた曲を新たな解釈で演奏、録音したもの。プロデュース、編集、ライナーノーツを手がけたジ・エッジは製作の過程をこう振り返る。
「音楽はタイムトラベルを可能にする。そこで、これらの曲を現代に持ち帰り、21世紀風に再構想したなら、どんな恩恵がもたらされるのか否か、それを知りたいと僕らは思い始めた。最初は一種の実験として始まった試みだったが、初期のU2の楽曲の多くが新たな解釈によって生まれ変わるうちに、気づけば僕らは夢中になっていた。ポストパンクの衝動は親密さにとって代わり、新たなテンポ、新たなキー、場合によっては新たなコードが試され、新たな歌詞が施された」
例えば、通常盤の10曲目「アイ・スティル・ハヴント・ファウンド・ホワット・アイム・ルッキング・フォー(終りなき旅)」。厚みのあるアコースティックギターの音に、カントリーシンガー風の重々しいボーカルが乗り、まるで別のバンドがカバーしているかのようだ。これは面白い。
14曲目「サンデイ・ブラッディ・サンデイ」は1972年の北アイルランドの「血の日曜日事件」をテーマにした曲。一連のアレンジの中での仕上がりが事前に全く想像できなかったが、聴いてみると、エキサイティングなアコースティックギターの伴奏によってオリジナルの熱量がちゃんと伝わって来る。ジ・エッジはこのアルバム全体について「本当に素晴らしい曲というのは、容易に破壊されないのかもしれない」と話している。
U2を初めて聴いたのはアルバム「ヨシュア・トゥリー」だった。俳優の石原裕次郎さんが亡くなり、俵万智さんの歌集「サラダ記念日」がベストセラーになり、マイケル・ジャクソンやマドンナが来日した1987年のことだ。アルバム冒頭の「ホエア・ザ・ストリーツ・ハヴ・ノー・ネイム(約束の地)」から「アイ・スティル・ハヴント・ファウンド・ホワット・アイム・ルッキング・フォー(終りなき旅)」「ウィズ・オア・ウィズアウト・ユー」まで聴いた時の衝撃と興奮はいまだに忘れられない。
あれから36年もの時が流れた。入社して間もなかった記者は定年間近になり、一方、ボーカルのボノは62歳、ギターのジ・エッジは61歳、ベースのアダム・クレイトンは63歳、ドラムのラリー・マレン・ジュニアは61歳になった。自分自身の変化を思えば、4人が求める音楽の変化も十分に理解できる。
ニューアルバムを聴いた後、聴き直してみたいと思ったのは「ヨシュア・トゥリー」ではなく「アクトン・ベイビー」だった。1991年に発売されたアルバムで、「ヨシュア・トゥリー」や88年の「魂の叫び」からの大胆な作風の変化に、当時、強い違和感を抱いたことを思い出す。ところが、およそ30年ぶりに耳にしてみると、意外なほどしっくりくる。「アクトン・ベイビー」後の彼らの軌跡をいま振り返れば、このアルバムも彼らの王道の一環だったと感じる。時を重ねることで、そこから得る感覚が変わることもある。音楽は奥が深い。
季節に例えれば「ヨシュア・トゥリー」や「アクトン・ベイビー」などは夏で「ソングス・オブ・サレンダー」は冬だろう。しかし、冬の後には必ずまた春が訪れる。「ソングス・オブ・サレンダー」にも春の予感が確かに内包されていて、ぬくもりも感じる。そして、5年後、10年後に聴き直すと、また違う印象を受けるかもしれない。
彼らは今秋に米・ラスベガスで「アクトン・ベイビー」と題したライブを開催することを既に発表している。夏の訪れもそう遠くなさそうだ。
◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。
芸能の2023年3月17日のニュース
-
有働由美子アナ 侍・大谷翔平の凄さを“らしく”分析「だからスーパースターですよね」
[ 2023年3月17日 22:50 ] 芸能
-
有吉弘行 実家に帰省して改めて夜が「怖い」と実感 マツコも同意「東京に住んでると麻痺するね」
[ 2023年3月17日 22:49 ] 芸能
-
薬師丸ひろ子 WBCにどっぷり「幸せな気持ちにくるんでもらえる」侍に感謝 渡部篤郎も熱中
[ 2023年3月17日 22:32 ] 芸能
-
マツコ 意外?牛肉が苦手な理由は匂いと食感「繊維を引きちぎる感覚が…」
[ 2023年3月17日 22:26 ] 芸能
-
葵わかな 食に革命を起こした女性に「自分も励まされた」
[ 2023年3月17日 22:21 ] 芸能
-
賀来賢人 子供たちとのじゃれ合いショット ファンほっこり「素敵なパパ」“トリックアート風”に驚きも
[ 2023年3月17日 22:08 ] 芸能
-
国山ハセン氏 TBS退社以来初の報道番組司会「最近まったくやっていないんですよ」
[ 2023年3月17日 22:06 ] 芸能
-
マツコ 有吉&久保田アナの“抜け駆け”に怒りあらわ「私も絶対、絶対どっかダマで行ってやる」
[ 2023年3月17日 21:53 ] 芸能
-
ひろゆき氏 SNSのうかつな拡散行為に警鐘「責任負うのは当然」「法律上は答えは決まってる」
[ 2023年3月17日 21:47 ] 芸能
-
マツコ 有吉弘行の“凄さ”を改めて実感「さすがだわ」テレ朝・久保田アナも思わず「ごめんなさい」
[ 2023年3月17日 21:30 ] 芸能
-
ひろゆき氏 逮捕状取得のガーシー容疑者の口の軽さ指摘「今度引っ越しするわとか言っちゃう人」
[ 2023年3月17日 21:30 ] 芸能
-
パンサー尾形 菅と「1回だけ大喧嘩した。つかみ合いになるぐらいの」 その理由は「尾形さんが僕に…」
[ 2023年3月17日 21:10 ] 芸能
-
チコちゃんコラボしすぎ?「TBSまで入っちゃった」 日テレコラボ週にTBSドラマのパロディーも
[ 2023年3月17日 21:05 ] 芸能
-
パンサー尾形 寒さに耐えられず足湯にダイブ きっちりマイク外した理由は「音声さんって怖いんだよ」
[ 2023年3月17日 20:58 ] 芸能
-
ヒカル 自身が設立したグループ「ネクステ」の解散発表 理由は「熱量の差」
[ 2023年3月17日 20:20 ] 芸能
-
「仲間って良いですね」ダチョウ倶楽部・肥後の還暦祝い会が「楽しそう」と話題
[ 2023年3月17日 20:00 ] 芸能
-
侍ジャパン現地観戦のナイナイ岡村に「にわかの鏡じゃないですか!」相方・矢部がツッコんだ理由は
[ 2023年3月17日 19:45 ] 芸能
-
高嶋ちさ子 小学校の卒業式で校歌を歌いながら大号泣も…母親「あんたバカじゃない!」と指摘した理由とは
[ 2023年3月17日 19:31 ] 芸能
-
長嶋一茂 ある歌謡曲を紹介する番組で歌いたくなった結果…スタッフから「一茂さんは一緒に…」
[ 2023年3月17日 19:28 ] 芸能
-
日テレ・滝菜月アナ 産休中に勉強して「無事合格」野菜ソムリエの資格取得「故郷北海道の畑風景が恋しい」
[ 2023年3月17日 19:16 ] 芸能




















