有吉九段の通夜に谷川17世名人出席 61歳までA級の実績に「見習わないと」 27日に87歳で死去

[ 2022年9月29日 21:50 ]

有吉道夫九段の通夜会場に飾られた写真や遺品※記者撮影
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 誤嚥(ごえん)性肺炎のため、27日に87歳で死去した将棋の有吉道夫九段の通夜が29日、兵庫県西宮市で行われた。棋聖のタイトルを獲り、74歳まで現役だった“火の玉流”をしのび、30人近くの棋士を含む150人がその死を悼んだ。

 参列した谷川浩司17世名人(60)は「素顔は優しく、でも対局中の闘志あふれる姿が印象的でした」と往時をしのんだ。30歳近い年齢差のため57回出場したタイトル戦での対戦はかなわなかったが、名人挑戦権を10人で争うA級順位戦では9回対局した。

 対戦成績は谷川の6勝3敗だったが、その最後2局は共に敗れた。30代前半の指し盛りにして、有吉九段は59歳と60歳での対局。95年が181手、96年が233手と長手数での終局が記憶に刻まれているとし、61歳までA級で指した底力に「見習わないといけないですね」と敬意を示した。

 藤井聡太王将(20)=竜王、王位、叡王、棋聖を含む5冠=の師匠・杉本昌隆八段(53)は「60代になっても、棋士室で若手と練習将棋を指された姿を覚えています」と振り返った。年齢の垣根を越え、若手の輪へ飛び込む発想の柔軟さとバイタリティーの持ち主と懐かしんだ。

 通夜会場には「道」「初心不忘」「夢」と自筆した色紙や「忍」と書いた扇子なども飾られた。葬儀・告別式も30日午後1時から、兵庫県西宮市高畑町2の25、エテルノ西宮で行われる。

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2022年9月29日のニュース