「日本統一」シリーズ第50弾 主演・本宮泰風「こんなに愛着を持った作品はない」

[ 2022年3月24日 07:45 ]

本宮泰風(左)と山口祥行(右)が主演する「日本統一50」のDVD
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 【牧 元一の孤人焦点】根強い人気を誇る任侠(にんきょう)シリーズ「日本統一50」のDVDが25日に発売される。このシリーズは2013年の第1作以来、関連作品も含め計61作。主人公の1人、氷室蓮司を演じる俳優の本宮泰風(50)は「『日本統一』のことは、ほかの仕事をしながらも365日考えているので、完全にライフワークになっている」と明かす。

 日本から抗争をなくすため、氷室と田村悠人(山口祥行)が極道界で頂点を目指すサクセスストーリー。横浜のチンピラからスタートした2人は、神戸で、日本最大の任侠組織「侠和会」に入って頭角を現し、現在は会の東京進出で尽力している。

 本宮は「物語の柱になっているのは、勧善懲悪の分かりやすい話。どこの世界にも、悪い人間と良い人間がいる。会社組織を任侠組織に置き換えただけだから、意外にサラリーマンの支持率が高い。親分が部下にどう接するかというところを見て『こんな上司がいれば…』と思ってもらっているようだ。僕自身が脚本に関わるようになってからは、任侠の世界ということは抜きにして、自分自身が理想とする人物像を作っているつもり」と話す。

 見どころのひとつは、氷室らが問題解決のために時として暴力に訴えること。その場面に迫力、現実味を与えているのが、演じる本宮自身の力強さだ。身長185センチの恵まれた体格で、総合格闘技を特技とし、その技を人に教える立場でもある。俳優仲間の間では「芸能界けんか最強の男」との声もある。

 「役者はプライベートで何をしているかが出てしまうから、体をきたえ、格闘技をやるようになった。子供の頃から体が大きくて、何もしていないのに力が強く、けんかばかりしていたので、親に、矯正のために剣道を習わされた。今は平和主義。けんかは好きじゃない」

 シリーズには、途中で終了する危機もあった。製作会社が収益の面から製作に消極的になったからだ。

 「『マイナスでなければ続けさせてもらえないか』と話しに行ったことがある。製作会社は3回くらい変わった。この作品のことをよく知っている人間が僕しかいなくなったので、自分で脚本を考え、監督やスタッフに声をかけるようになった。終わってもおかしくない状況に何度か陥ったが、自分の中に『今やめてはだめだ』という思いがあった。当時はその思いに何の根拠もなく、勘みたいなものだったが、今になって思えば、こんなに愛着を持った作品はない。今は、総合プロデュースの立場で、劇場やテレビ局、配信会社に営業にも行っている」

 その思いの強さ、作品への愛情こそが、このシリーズを長寿化させた源だろう。

 「『日本統一100』まで行こう、という話はしている。ただ、これまでの製作速度を考えると、100の頃、僕は60歳くらいになっているから、今のような立ち回りができるかどうか。僕と山口が将棋を指す場面も、それはそれで面白いかもしれないが…。できるところまでやりたい」

 今作で映し出される氷室の部屋の机には、地球儀が置かれている。日本統一が終点なら、そこに日本地図があれば事足りる。氷室の視野は実は世界へと広がっているのではないか…。この壮大な物語から、ますます目が離せない。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴30年以上。現在は主にテレビやラジオを担当。

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