八代英輝氏 森友決済文書改ざん、突然の裁判終結に「この政治決着、これが話を聞くことなのか」

[ 2021年12月16日 12:00 ]

八代英輝弁護士
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 弁護士の八代英輝氏(57)が16日、コメンテーターを務めるTBS「ひるおび!」(月~金曜前10・25)に出演。森友学園問題に関する財務省の決裁文書改ざんを巡り、自殺した近畿財務局の元職員赤木俊夫さんの妻、雅子さんが起こした訴訟で、国が突然、損害賠償責任を受け入れたことについて言及した。

 鈴木俊一財務相は決定までの詳しい経緯の説明を避けたが、世論の批判を浴び、政府内で触れることは「タブー」(財務省幹部)の問題を早期に終結させたいという岸田政権の思惑が透ける。「真相が解明されない」との指摘が出ているが、鈴木財務相は「丁寧な対応に努めてきた」と説明した。一方、雅子さんは大阪市内で開いた記者会見で「ふざけるなと思いました。夫は国に殺されて、また何度となく殺されてきましたけど、今日もまたうちのめされてしまいました」「真実を知りたいと訴えてきたが、こんな形で終わってしまい、悔しくて仕方がない」と話した。

 八代氏は「昨日、大阪地裁で行われたのは、裁判に対する進行協議であって請求に対する協議ではないんですね。ですので進行に関して、これから財務省の幹部の方々がどういう順番でどういうふうな証人尋問を行っていくかということを協議する場だったわけですが、実際これから赤木さんの上司だった幹部が証言台に立つということを協議する場で、一転、国としては請求に関する認諾ということを行ったわけですね」と説明し、「私も大阪地裁で裁判官をして国が被告となっている裁判を数多く担当しましたけど一審で国が原告の請求を認諾したケースは一件も経験ないですし、極めて異例だと思います」とした。

 そして「やはり公務員の故意、過失行為によって民間人が被害を受けた場合、その賠償原資になるのは国民の税金。ですので国は国としての責任において、すべての論点をつぶしてこの税金が支払われることに納得していただくという国民に対する説明責任があるんです」とし、「ですので時には人道上どうなんだということが批判されるような裁判の長引き方、高裁、最高裁までいったりするわけですね。それは当然、例えばハンセン病であったり、らい病であったり、そういった原告の方々の年齢等を考慮して早く裁判を終わらせなければならないケースもありますけれど、今回は全くそういうことではない」とコメント。

 「しかもお金を払うことが原告の救済にするというケースでもないじゃないですか。なのでこういった形で裁判を終わらせてしまうっていうのは、司法側としては何もできませんけれど、実態解明を尽くしたいということを考えられた当事者にとっては本当に痛恨だと思いますね。ですので、この政治決着、これが話を聞くことなのかと言われれば非常に違和感を感じますね」と自身の受け止めを述べた。

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