球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

“シンクタンク”レイズ 次なる挑戦はホームゲーム分割案

[ 2019年6月30日 02:30 ]

 レイズは異色の球団だ。選手年俸ランクは最下位。それでいて年俸3倍強の2球団レッドソックスとヤンキースをいつも苦しめる。変形シフトの守りで先陣を切り、昨季始めた救援投手を先発させ、2回に先発投手につなぐオープナーはセオリーになった。他球団が“引き抜いた”人材の実績も凄い。15年に編成責任者がドジャースに招かれ3年連続ワールドシリーズ進出。ジョー・マドン監督もカブスに移り、翌年に108年ぶりの世界一に。今季も2人のコーチがブルージェイズとナショナルズの新監督だ。

 こんなレ軍を他球団は「球界のシンクタンク」と呼ぶのだが、悩みは29位か最下位が指定席の観客動員。客足が伸びない理由ははっきりしている。築30年、老朽化した巨大なテントのようなトロピカーナ・フィールドが、豪華球場全盛の時代に取り残された。球団は球場を所有するセントピーターズバーグ市に新球場建設の請願をするが、10年たっても進展なし。

 そして20日、大リーグ機構(MLB)の発表。「レイズのホームゲーム半分を他球場でやるための球場探しをする許可を与えた」。市長は怒った。「球場リース契約は2027年まで。こんな話は許せない」。球団は「この地区で野球を続けるにはこの方法しかない」と理解を求めるが、衝突だ。そこに「40試合の行く先はカナダのモントリオール」の報。04年までのエクスポズ(現ナショナルズ)の本拠地、モントリオールはエ軍移転後、球団誘致を続けていた。ホームゲーム分割も、エ軍のワシントン移転前年の03年に22試合をプエルトリコでやった例がある。レイズは水面下でモントリオールと話したのだろう。

 シンクタンク球団の妙案、実現するか。 (野次馬)

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