球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

打てればOK?野球の基礎を軽視ヤンキース捕手“追放”

[ 2018年7月29日 05:30 ]

 100試合を過ぎたら2位チームの逆転可能なゲーム差は残り試合の1割、6ゲーム差…とは大リーグの古い経験則。ア・リーグ東地区でヤンキースは首位レッドソックスを6ゲーム差内で追う。緊張が増す中、“怠慢プレー騒動”が起こった。

 先週のレイズ戦でゲーリー・サンチェス捕手が攻守で走らなかった。1回裏、レ軍は走者二塁、サンチェスはセベリーノの低めの球を捕り損ね、三塁側ファウルグラウンドに転がるボールをのんびり拾いに行き、二塁走者にホームインされた。6―7となりヤ軍が1点を追う9回の2死満塁では、鋭い当たりのゴロを二塁に打ったが、またも走らずジョギングして簡単に一塁アウト。「怠慢プレーでヤ軍は手痛い敗戦」とメディアに切り捨てられ、ネット上はファンの非難の嵐。

 試合後サンチェスは、テレビに映ったベンチ内のセベリーノとの口論を「サインの確認」と弁解し、9回は「全力で走るべきだった」と反省した。アーロン・ブーン監督は「ビデオで精査し、どうするか決める」といったが、「右股関節痛で10日間の故障者リスト入り、復帰は8月末」とブライアン・キャッシュマンGMは容赦なし。

 サンチェスはドミニカ共和国から09年に入団した24歳、ジャッジとともに16年シーズン末に引き上げられ、その強打でもてはやされた。昨季は33本塁打したが、実質2年半のヤ軍でのプレーで32捕逸は大リーグ最悪だ。田中の変化球が捕れず女房役から外されたのは当然だが、投手との関係はよくない。加えて時々の怠慢プレーと今季打率・188では“追放”も仕方ない。「問題は」と記者たちは続ける。「昨季のジョー・ジラルディ監督解任の主因はサンチェスとの捕球技術を巡る対話の不調。ブーン監督も同じ問題を抱え込んだ。プレーオフ進出は大丈夫か…」。付け加えれば本塁打を打てばOKの基本軽視野球の弊害もありそうだ。 (野次馬)

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