球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

物議呼んだサイン盗みは伝統「もう一つの試合」

[ 2017年9月10日 05:30 ]

 ヤンキースが「レッドソックスはフェンウェイ・パークでサイン盗みをしている」と大リーグ機構(MLB)に告発した。レ軍は悪びれず「ヤ軍もヤンキースタジアムで球団専属局のテレビカメラで、サインを出す我がチームのベンチ・コーチを映し、サイン盗みをしている」とやり返した。

 そんな経緯とともに「MLBは、8月下旬から両球団の調査を続けている」とニューヨーク・タイムズ紙が伝えた。ところが、ア・リーグ東地区の首位争いの両チームの選手たちは冷静だ。「サイン盗みは昔から野球の一部。“試合の中のもう一つの試合”だ」。「野球規則はサイン盗みを禁じてはいない。ただ、双眼鏡や電子機器を使うのはどうか…」ともっともな現場感覚。

 話題は、レ軍が使ったアップルウオッチ。築105年の球場ではベンチ近くにビデオ室を設置するスペースがない。中堅スタンドの中継カメラの映像は外野スタンド下のビデオ室が受け、その映像をベンチ内のトレーナーの腕に着けたアップルウオッチに送っていた。ヤ軍のようにベンチ近くのビデオ室から直接伝達ができないためのハイテク利用だ。「電子機器を問題にするのは無意味。タブレットのベンチ持ち込みはOKなのだから」。「09年のインスタント・リプレーの球場解禁で電子機器の侵入は止められなくなった」と各球団幹部の話はハード面に集まるが、複数球団がブルージェイズのサイン盗みを疑っていたという。

 MLBの判断はどうなるか。カージナルスがアストロズのデータベースに不正侵入し情報を盗み、罰金約2億円、ドラフト1、2巡指名権をア軍に渡したような厳罰にはならない、と言われる。両球団を罰するかどうかも気になるが、伝統のサイン盗みはぜひ残してほしいものだ。(野次馬)

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