恐怖の8番 阪神・木浪「絶対俺が決める」プロ初サヨナラ打 原動力はTVの前で「パパ」と呼ぶ愛娘

[ 2023年5月4日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神8ー7中日 ( 2023年5月3日    甲子園 )

<神・中>サヨナラ打の木浪(左)に水をかける大山(撮影・大森 寛明)
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 阪神・木浪聖也内野手(28)が3日の中日戦で5年目で初のサヨナラ打を放ち、今季初の3連敗を阻止した。0―6から追いつき、再び1点を勝ち越された直後の9回も開幕から無失点だった難攻不落のマルティネスから同点。なお無死満塁から156キロを右前へ打ち返し、大逆転劇を完成させた。

 木浪は3球で追い込まれても冷静だった。4球目の外角高め156キロをファウル。「タイミングがちょっと遅かった。間を空けて自分の間にしてからいった」。打席を外し、気持ちをいったん整理。「タイミングだけを早く取る」と言い聞かせた。同じ156キロが今度は内角寄りへ。初球から5球連続の速球勝負で、もう目も体も反応できた。少し詰まっても、力強く引っ張り、5年目で初のサヨナラ打が右前に弾んだ。

 「つないでもらえたので、絶対に俺が決めるという強い気持ちがあった」

 チームメートからのウオーターシャワーにぬれた。水をかける側だった今までとは違う。初体験の歓喜だった。阪神が昨季セーブ王のマルティネスに黒星を付けるのは同点から攻略した21年9月21日以来。セーブ機会で逆転したのは初めてだ。中野の殊勲打で栗林から逆転サヨナラを決めた4月18日の広島戦に続き、敵守護神をまた沈めた。

 2日から始まった「ゴールデンウィーク こどもまつり」。観戦に訪れた両親に勇姿を届けた。ユニホームを脱げば、自分の方が1児の父親の顔に戻る。長女は最近テレビの前で背番号0を見つけて「パパ」と呼ぶようになった。「ちゃんと認識されるまでやりたい」。ナイターで帰宅が遅い夜も愛娘の寝顔が原動力だ。

 4度目の猛打賞は広島・秋山の5度に次ぐリーグ2位。2回2死でも右前打で反撃を呼ぶなど4出塁が光る。「ここ最近負けが続いていても、ベンチも試合に出ている人も、そんな気持ちもなく、いい雰囲気でできている。この勝ちがつながっていけばいい」。4月8日のヤクルト戦から20試合連続で先発。打率・349まで上げ、早ければ来週中の規定打席到達を視界に捉えた。

 5度目の2連敗で迎えた一戦で今季初の3連敗をまたもや回避した。3連敗以上がないのは両リーグで唯一。6点差を追いつき、9回に勝ち越されても、はね返した。「ああ、これ、初めて3連敗するなと思ったんだけど。でも、やっぱり3連敗しなかったから」。岡田監督も手応えを深める大逆転勝利だった。(石崎 祥平)

 <子供たちには神回答>◯…「ゴールデンウィーク こどもまつり」恒例の子供たちによるヒーローインタビューがサヨナラ勝利をさらに盛り上げた。殊勲の木浪は小学4年生の秋元晴くん(9)からの「どうしたら、中野選手みたいになれますか?」という難問に「エッ、おー」と一瞬絶句してから「もう中野くんです。そういう気持ちを持てば、中野くんです」と最高の答えを返した。「阪神を応援するために東京から関西の中学を受験します」と進路を明かした小学6年生の石原朝稀さん(11)には「ここにいるみんなを喜ばせたい」と今後の活躍を約束した。

 ○…阪神のサヨナラ勝ちは今季3度目で、最終回の逆転サヨナラは4月18日広島戦に続き2度目。6点差逆転勝ちは、22年6月3日の日本ハム戦で4回表終了時の1―7→9―7以来。

 ○…ナイターでは巨人も6点差劣勢から逆転勝ち。7点差を逆転した19年8月9日ヤクルト戦(0―7→10―9)以来。同日に2球団が6点差以上の逆転勝利を挙げたのは1リーグ時代の49年11月21日に阪急が大映戦(0―6→○17―8)、阪神が東急戦(0―6→○10―7)でそれぞれ記録して以来74年ぶり2度目。2リーグ制後では初めて。今回は8―7のスコアも同じだった。

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