阪神の反撃ムードをつくった「富田の25球」 中日・涌井のリズム崩した新人らしからぬ投球術

[ 2023年5月4日 08:00 ]

セ・リーグ   阪神8ー7中日 ( 2023年5月3日    甲子園 )

<神・中>3回kら登板した阪神・富田(撮影・北條 貴史)
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 【畑野理之の談々畑】阪神は6点差をひっくり返しての大逆転勝利。甲子園はサヨナラ打を放った木浪聖也のヒーローインタビューで凄い盛り上がりを見せていた。先発の西勇輝が2回に6失点。この日の4万2579人の大観衆は、最後に六甲おろしの大合唱ができるなんて、まさか、まさかの思いだろう。

 虎ファンが喜んだのは木浪の他にも大山悠輔、近本光司、佐藤輝明らが8得点を叩き出したシーンだろうが、富田蓮の快投もそこに加えてほしい。6失点して、すぐに2点を返した3回から登板して3者凡退。そして4回も3人で片付けた。一方的な展開になるのを防いだだけではなく、反撃のムードを確かにつくった。

 「2得点した時だったので流れが来ると思いましたし、打線に勢いがつくようにと思って投げました。点差はまだありましたが、リズム良く…とは考えていました」

 捕手からの返球を受け取るとすぐにサインをのぞき込む。メジャーで話題になっているピッチクロックなんてどこ吹く風の1球ごとの間隔で、しかも2イニングを一人の走者も出さず、守っている時間を短くした。

 特に4回は新人らしからぬ投球術をみた。9番の先発投手の涌井秀章を見逃し三振、1番岡林勇希も2球で中飛。2死で迎えた2番大島洋平には、涌井がまだベンチ前の肩慣らしに出てきていないので振ってこないと知っていたからだろう、簡単に2球(いずれも見逃し)で追い込み、遊び球なしで3球目を遊ゴロ。涌井にまったくルーティンをさせないまま4回裏のマウンドへ向かわせた。毎回の10安打を浴びせて5回までに4得点。影響したかは涌井には否定されるかもしれないが、西武―ロッテ―楽天でDH制度のあるパ・リーグを渡り歩いてきたプロ19年目のベテランに、少なくとも気分良く、スイスイとはさせなかった。富田のテンポが、グラつかせるくらいはさせたような気がした。

 振り返れば今シーズンを占う一勝になりそう。岡田監督も「ターニングポイントは、富田が2イニングをビシッと3者凡退で流れをもってきたところかな。あそこで、いけるんじゃないかと思ったね」とまるで“勝利投手”を称えるかのよう。追い付き、再び勝ち越されてからの逆転勝ちで、富田の25球がよりクローズアップされた。

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