DeNA・バウアー さすがサイ・ヤング腕!7回1失点9Kで来日初勝利「ヨコハマシカ、カタン!」

[ 2023年5月4日 05:30 ]

セリーグ   DeNA4-1広島 ( 2023年5月3日    横浜 )

<D・広>7回、代打・松山を空振り三振に仕留めガッツポーズのバウアー(撮影・島崎忠彦)
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 DeNAの新外国人のトレバー・バウアー投手(32)が3日、広島戦で1軍デビューを果たし、7回7安打1失点、9奪三振で来日初勝利。最速155キロの直球とナックルカーブ、新球のスプリットチェンジも駆使した。20年にサイ・ヤング賞にも輝いた男の熱投に、大型連休期間に集まった横浜スタジアム史上最多の3万3202人のファンも熱狂。超大物右腕が加わり、首位を走るチームは98年以来の頂点に向け加速する。

 マウンドでサイ・ヤング賞男が吠える。ハマスタ史上最多の観客が叫ぶ。まるで98年にリーグ優勝した時のような、異様な熱気がバウアーを包んでいた。

 「元々尻上がりに調子が上がるけど、7回は変化球が曲がった。最高のファンの中で、待ちこがれていた勝利となった」

 4―1の7回2死二、三塁で代打・松山を迎えた。2ボール2ストライクから投じた8球目。この日の最後に投じた98球目は来日後に習得した「スプリットチェンジ」だ。142キロで膝元から沈む魔球にバットが空を切る。7回7安打1失点、毎回の9奪三振で初登板初勝利を手にした。

 序盤は何度も捕手・伊藤のサインに首を振ったがコミュニケーションを取りながら修正。2回にレッズ時代の元同僚デビッドソンに152キロの直球を左中間に運ばれたが、ダイヤモンドを一周している相手に「何てことしてくれるんだ!」と冗談で呼びかける余裕もあった。中盤は変化球主体に配球をチェンジ。2軍で3試合の調整登板を経て中4日での登板だったが、さすがの修正能力を示した。

 最速155キロで得意のカットボールもさえたが、特に相手を幻惑させたのはナックルカーブだ。レッズ時代にサイ・ヤング賞に輝いた20年の際の落差はメジャーNo・1。平均球速79・7マイル(約128キロ)で平均落差63・6インチ(約162センチ)だった。21年のドジャース時代に発覚したドメスティックバイオレンス(DV)問題の影響で同年6月28日ジャイアンツ戦以来674日ぶりの登板だったがブランクも感じさせない変化量で5回に野間、6回は坂倉からともに見逃し三振を奪うなど、この日の球種別では最多の3三振を奪った。

 カリフォルニア大ロサンゼルス校(UCLA)で機械工学を学んだ理論派。入団が決まると日本のボールを半分に切断し、米国との違いを研究した。「野球を科学することは日本でも続ける」と新天地でも、その探求心は衰えない。来日から右肩のコンディション不良もあって約1カ月を2軍で過ごしたが練習法や取り組む姿勢は若手の手本となった。今後は1軍先発陣の大黒柱として、チームを25年ぶりの優勝に導く。

 お立ち台の最後、バウアーは「今まで勝利した中で一番特別です」と感慨を込め「アリガトウ!ヨコハマシカ、カタン!」と締めた。メジャー通算83勝の投球術と同様、覚えたての日本語でもファンの心をつかんだ。(大木 穂高)

 ◇トレバー・バウアー 1991年1月17日生まれ、米カリフォルニア州出身の32歳。カリフォルニア大ロサンゼルス校から11年ドラフト1巡目(全体3番目)でダイヤモンドバックス入り。12年オフにインディアンスに移籍し、15年から5年連続2桁勝利。レッズ時代の20年にサイ・ヤング賞を受賞した。21年にドジャースに移籍も、今年1月に契約解除。メジャー通算83勝69敗1セーブ、防御率3・79。1メートル85、92キロ。右投げ右打ち。

 ≪17年クライン以来の初登板初勝利≫バウアー(D)が7回1失点でデビュー戦勝利。チーム外国人の初登板初勝利は、17年クライン以来6人目で、7回以上を投げたのは、04年マレン(8回)に次ぎ2人目だ。また、この日の奪三振は9。来日初登板で2桁三振を奪っていれば、チームでは09年8月16日広島戦のランドルフ(12奪三振、敗戦投手)以来で、初登板初勝利&2桁奪三振なら球団助っ人初の快挙となっていただけに惜しかった。なお、初登板に限らない、DeNA外国人の2桁奪三振は16年6月14日日本ハム戦のモスコーソ(10奪三振)が最後となっており、バウアーには久々の達成が期待される。

 ≪ストライク率72.4%≫バウアーの最大の特長は、操る球種全ての制球力が高いことだ。この日は98球中71球がストライクで、ストライク率は72.4%。球種別で見ると、直球の80%が最も高い上に、4種類の変化球も全て64%以上だった。全球種で三振を奪っており、カウントを稼げて決め球にもなることを証明した。

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