槙原寛己氏 変化球光るDeNA・バウアー 試合中スタイル変えられる柔軟な投球

[ 2023年5月4日 05:30 ]

セリーグ   DeNA4-1広島 ( 2023年5月3日    横浜 )

<D・広>DeNA先発のバウアー(撮影・島崎忠彦)
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 【槙原寛己 視点】バウアーはやはりモノが違う。130キロ前半のカーブと小さい変化のスライダー。左打者の膝元に食い込むカットボールと外に落ちていくチェンジアップ。鋭い腕の振りで投げる変化球はどれも超一級品だ。

 試合序盤は危ういシーンがいくつかあった。伊藤のサインに何度も首を振りバウアーが配球の主導権を握っていたのだが2回にデビッドソンに2―1からストライクを取りにいった直球で被弾。続く田中に右前打。韮沢には直球とカットボールで4球内角球を続けて右前に運ばれた。3回にも左の西川に内角直球を右前に痛打されている。伊藤主導の配球ならばデビッドソンには変化球でストライクを取りにいっただろうし、左打者への内角一辺倒の配球も避けていたはずだ。

 ただ、バウアーが優秀なのは試合の中で広島の打者たちの狙いを察知し、伊藤のリードを取り入れて投球を変えたことだ。6回坂倉には外からカーブを入れて見逃し三振。7回2死二、三塁、松山には外に落ちていくチェンジアップで空振り三振。内角に意識のあった左打者の裏をかき、外の変化球で打ち取った。クレバーだし、投球の引き出しも多い。

 ストライク率72・4%。少ない球数でイニングを稼げる“イニングイーター”だ。救援陣のいい今のDeNAなら、7回まで投げれば勝率は高まる。大きな右の柱が誕生した。(スポニチ本紙評論家)

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