最初の1勝・村上雅則氏 ダルの日本人1000勝達成に「ちょっと時間がかかったかな」

[ 2022年9月4日 02:30 ]

ナ・リーグ   パドレス7ー1ドジャース ( 2022年9月2日    ロサンゼルス )

22年8月に巨人・阪神戦で始球式を行った村上氏
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 パドレスのダルビッシュ有投手が日本投手の通算700、900勝に続いて1000勝の節目の白星を挙げた。日本投手初勝利が挙げられた1964年から58年。その記念すべき1勝目を挙げた村上雅則氏(78=野球評論家)がスポニチ本紙の取材に答え、当時を振り返った。

 ちょっと時間がかかったかな。私から野茂まで29年間空いたからね。最初の1勝は58年も前のことになる。

 「ウチに入ったら米国に行かせてやる」。鶴岡一人監督の誘いに乗って1963年、法政二から南海(現ソフトバンク)に入団。翌64年、約束通り留学させてもらった。

 ジャイアンツの1Aフレズノに所属。11勝7敗、防御率1・78の成績を残し、セプテンバー・コールアップでメジャーに呼ばれた。3階級特進だ。通訳なんていない。単身ニューヨークへ飛んでチームに合流。9月1日。シェイ・スタジアムでのメッツ戦直前、訳が分からないまま契約書にサインさせられ、その夜デビューした。

 初勝利は同29日、本拠地キャンドルスティック・パークのコルト45’s(現アストロズ)戦だった。4―4の9回から3イニングを1安打無失点に抑えると延長11回、アルー3兄弟の真ん中、マテオのサヨナラ弾が飛び出した。

 勝った、勝ったの大騒ぎ。手荒い祝福の輪の中で誰かが言った。「お前、初めて勝ったんじゃないか?」。そう、記念すべき第一歩だ。でもスタンドに消えたウイニングボールは戻ってこなかった。

 そのオフ、南海とジ軍との二重契約が日米コミッショナーを巻き込む大騒動に発展。最終的には翌65年までジ軍でプレーするという形で収まった。大リーグ2年通算54試合で5勝1敗9セーブ、防御率3・43の成績を残し、南海に戻った。

 以来野茂がドジャースに入る95年まで空白ができたのだが、みんなが頑張って積み重ねてきた1000勝。さらに次の1000勝を目指してほしい。それと誰かサイ・ヤング賞を獲ってほしいな。

 ◇村上 雅則(むらかみ・まさのり)1944年(昭19)5月6日生まれ、山梨県七保村(現大月市)出身の78歳。法政二から南海(現ソフトバンク)に入団し、2年目の64年に米国留学。1Aフレズノからサンフランシスコ・ジャイアンツに昇格し、日本人初のメジャーリーガーとなる。大リーグでは2年プレーし通算5勝1敗9セーブ、防御率3・43。日本では南海、阪神、日本ハムで通算103勝82敗30セーブ、同3・64。日本ハム、ダイエー(現ソフトバンク)、西武でコーチを務めた。

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