パドレス・ダルビッシュ “常識”を疑い磨いた変化球が武器に

[ 2022年9月4日 02:30 ]

ナ・リーグ   パドレス7ー1ドジャース ( 2022年9月2日    ロサンゼルス )

<ドジャース・パドレス>7回無失点で12勝目を挙げたダルビッシュ(AP)
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 【Hero's File】パドレスのダルビッシュがメジャーに来た12年には、彼のように体が大きく球が速い投手は、まず直球を確立すべき、というのが固定観念だった。それができれば、変化球は多くはいらない、と。だが固定観念をうのみにはしないのがダルビッシュだった。

 「真っすぐは過大評価されていると思っていたし、多くの変化球を投げるのに越したことはない。でも最初は凄く否定されたし、日本人の先輩たちにも、もっと球種を少なくしろと言われてきた。でも僕は信じなかった」

 メジャー1年目の12年は、初球には直球を最も多く(41.1%)投げた。時を経て今季はカットボールに変わっており、50.2%を占める。「実際こうしてデータの時代になって、(打者の)レベルが上がって、球種が3つではどうにもならなくなっている。自分の考えは正しかったと思っています」と自身の変化にうなずいた。

 現在のスタイルになったのは19年。カブスのトミー・ホットビー投手コーチらに背中を押された。「今の野球はどんなに良い直球を投げても、直球が得意な打者は打つ。要はいかにミックスするか。そしてストライクを先行させるか。ユーは初球変化球できっちりストライクを取れる」と同コーチ。20年には直球とツーシームの速球系は23.3%にとどまり、76.7%の9種類の変化球で日本人初の最多勝に輝いた。

 面白いのは変化球主体のピッチングが、結果的に直球での三振数を増やしていること。今季162三振のうち、直球が51個で最多。自分なりのやり方で、直球をしっかり生かしている。(奥田 秀樹通信員)

 ▽ダルビッシュの球種 (1)直球と10種類の変化球の計11球種を操る。全投球の35%と軸となるカットボールは3種類。(2)90マイル(約145キロ)超の速いものと、85マイル(約137キロ)前後で(3)縦に曲がるものと、(4)横に曲がるもの。スライダーは2種類で(5)横に大きく曲がるものと、(6)斜めに沈むもの。カーブが2種類で70マイル(約113キロ)前後の(7)スローカーブと、80マイル(約129キロ)前後の(8)ナックルカーブ。他に(9)ツーシーム、(10)スプリット、(11)チェンジアップを自在に操る。

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2022年9月4日のニュース