広島・遠藤が開花4勝 佐々岡監督が手配してくれたチケット、両親招待したあの試合が分岐点

[ 2022年9月4日 04:45 ]

セ・リーグ   広島4ー0DeNA ( 2022年9月3日    マツダ )

<広・D>7回無失点で勝ち星を挙げた遠藤(左)と好守で支えた磯村は、お立ち台でガッツポーズする(撮影・椎名 航)
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 広島・遠藤淳志投手(23)が3日のDeNA戦で7回無四球無失点と好投し、5月25日ロッテ戦以来101日ぶりとなる今季4勝目を挙げた。6月下旬に新型コロナウイルス感染で離脱して以降、復帰5試合目での初勝利。打線は秋山翔吾外野手(34)が2安打2打点をマークするなど援護し、奇跡のクライマックスシリーズ(CS)進出へ、諦めない姿勢を示す2連勝を飾った。

 遠藤の最大の武器は切れのある直球だ。ただし、自身9試合ぶりの白星に導くカギは変化球にあった。

 「今日は変化球があったからこそ、直球も全力で腕を振れた」

 5回5失点と崩れた8月20日DeNA戦後、会沢から伝えられた。「変化球が入らないと投球にならない」。この一戦ではボール球となった34球のうち、変化球が26球を占めていた。だが、この日は打って変わって、変化球でカウントを整えられた。唯一、走者を得点圏に背負った2回。1死二塁で迎えたソトにはチェンジアップを初球に見せて、そこから3球連続の直球で空振り三振に仕留めて切り抜けた。

 「自分の持ち味である切れのある直球を投げていきながら、変化球とのコンビネーションになる。今日は本当にうまく投げられた」

 今季の分岐点となった一戦がある。開幕1軍争いが最終局面に入っていた3月中旬。佐々岡監督から伝えられた。「次の試合、ご両親にマツダまで見に来てもらいなさい」。そう言って指揮官自らチケットを2枚手配してくれた。今春初先発となった日本ハムとのオープン戦に茨城から両親を招待。昨季からの成長を確信していた指揮官の計らいによって、開幕ローテーション入りを決定づける好投を、現地で見せることができた。

 4回無失点に抑えたその一戦で遠藤自身も自信を得た。「この形のままで大丈夫だと思えたのは、あの試合だった」。下半身が沈み込む悪癖を見直した新投球フォームにより、登板2試合に終わった昨季より制球が安定していると実感できた。

 新フォームには、もう一つ狙いがあった。それは省エネだ。下半身が沈み込まないことで、疲労の蓄積を抑えられると考えた。最後のイニングとなった7回は「絶対に抑えてやろう」とスイッチを入れ替えた。牧から見逃し三振を奪うなど1イニング2奪三振。球数が95球を数えても球威は落ちず、佐々岡監督からは「最後と思って、ギアを上げただろ」と笑いながらツッコまれた。

 「正直、勝てずに苦しかった。ほっとした」。4勝目で満足はしていないだろう。確かな成長を証明する時間は、まだ残されている。(河合 洋介)

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2022年9月4日のニュース