巨人・亀井がプロ野球史上初の開幕戦代打サヨナラ弾! 「今年一番の当たり。めっちゃうれしい」

[ 2021年3月27日 05:30 ]

セ・リーグ   巨人8ー7DeNA ( 2021年3月26日    東京D )

<巨・D>史上初の開幕戦代打サヨナラ弾を放った亀井はガッツポーズ(撮影・森沢裕)
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 亀さんはやっぱり頼りになります。プロ野球は26日、セ・パ両リーグが開幕。リーグ3連覇を目指す巨人はDeNAと対戦し、7―7の9回に代打・亀井善行外野手(38)が右越えに決勝1号ソロを放った。開幕戦での代打サヨナラ本塁打はプロ野球史上初めて。劇弾は通算7本目となり、長嶋茂雄と阿部慎之助に並ぶ球団歴代2位となった。勝負強いベテランが一振りで存在感を示した。

 勝負は準備で決まる、との格言がある。亀井の代打初打席は、一塁ベンチ前の素振りから始まっていた。抑えの三嶋の投球練習を見ながら考えた。

 「ストライクが入らないな。1ストライクまでは見よう」。勝利目前、同点に追いつかれた直後の9回先頭である。今季は延長なしの打ち切りルール。ベンチで抑えの中川が顔を紅潮させて目をうつろにする中、チーム最年長の38歳は集中力を研ぎ澄ました。

 初球。案の定、直球が高めに外れた。

 2球目。スライダーが低めに決まる。1ボール1ストライク。

 打席に立つ前から勝負が始まっていたのが亀井。一方で、三嶋の戦いは2球を投げ終えてから始まった。昨季途中抑えに抜てきされ、経験は1年未満。ストライクを取れる得意球を選択するはずだ。

 3球目。亀井の頭は「球が速い投手。真っすぐに合わせながらスライダー」だった。同球種を完璧に捉え、右翼席上段の柱にぶち当てた。史上初の開幕戦代打サヨナラ弾はこうして生まれた。緊張から解き放たれ「何か胃が痛い」と表情を崩し「今までの経験が力になって」と言った。

 熟年期の強い精神。故障が多く、原監督いわく「強そうで弱い」選手だった。先発出場が続いた19年の試合前。マッサージを受ける亀井に「亀ちゃん、代打の1打席でいいよ」と声を掛けた。若手時代なら先発出場を望んだだろう。だが「はい、ありがとうございます」と素直に返答した。「弱い部分を出せる人は逆に強い」と指揮官が感じた成長だった。

 代打起用が続いた17年は「そこしか生きる道はない」と勝負をかけ、一回り強くなった。原監督は「チームに活力を与えてくれた。意味ある、意義ある素晴らしいサヨナラホームラン」と喜んだ。試合前の円陣を関西弁で盛り上げた亀井が本塁で出迎えたナインの真ん中に再び戻った。今季の3球目を初めて振ったが「まだ始まったばかりですが今年一番の当たりでした。めっちゃうれしい」とは何ともしゃれている。

 通算99号。節目にリーチをかけたが「恥ずかしい数字。遅いでしょう」と笑った。腰に巻くのは14年間使い続けるベルト。キャンプイン時はやや脂肪を蓄え2つ目だった。「今日は3つ目。完璧の状態で仕上がっている」。5つ穴の3つ目が最良の体調を意味している。(神田 佑)

 ≪ミスターに並んだ通算7本目劇弾≫亀井(巨)が9回代打でサヨナラ弾。開幕戦のサヨナラ本塁打はチーム初で、19年中田(日)以来史上13人目。うち代打では亀井が史上初めてだ。自身のサヨナラ本塁打は17年6月18日ロッテ戦以来通算7本目。プロ野球記録は清原和博(オ)の12本だが、巨人では長嶋茂雄、阿部慎之助に並ぶ2位タイで、王貞治が持つ球団最多記録の8本に1本差に迫った。また、代打サヨナラ本塁打は09年4月25日中日戦以来2本目。巨人では56年に2本を放った樋笠一夫に並ぶ最多本数になった。なお、この日の一発で通算99本塁打とし、節目の100号に王手がかかった。

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