開幕戦から「ハッピー、ハッピー」　阪神・サンズが2発の大殊勲「ハッピーハンズをたくさんできるように」

セ・リーグ   阪神4ー3ヤクルト （ 2021年3月26日    神宮球場 ）

＜ヤ・神＞　ヒーローインタビューを終えファンに手を振る阪神・サンズ（撮影・大森　寛明）
Photo By スポニチ

　どうだ、力比べでも負けていないだろう…。次を打つ佐藤輝にも見せつける一発だった。阪神・サンズが3―3の8回2死、清水の甘いスライダーを左翼席へ決勝ソロ。怪物ルーキーばかりに注がれていた視線を、一振りで奪い取った。

　「9イニングしかないので、できるだけ早くリードしたい思いがあった。いいスイングができて勝ててうれしいよ」

　5番・サンズ。6番・佐藤輝。オープン戦最後は入れ替わっていた2人の打順が元に落ち着き、ベースを一周して出迎えてくれるのが佐藤輝なら気分は悪くない。1―1の4回2死でも小川の低めカーブをバックスクリーン右に運ぶ1号ソロ。開幕戦2発は球団では90年の岡田彰布以来史上3度目の快挙で、ベンチ前での恒例の「ハッピーハンズ」も連発発進した。

　「これを維持できるといいんですが…。今年もハッピーハンズをたくさんできるように頑張ります」

　2回無死一塁の第1打席も右前打を放って一、三塁と好機を広げ、佐藤輝の先制犠飛を演出。3安打2打点で完全に主役となった。
　オフは、米国で中高生へ向けて野球や運動を教える活動を行っていた。動作や癖を見極めた上で指導に移すため、特徴を把握するのは得意分野。自身のプレーにも反映しており、昨年の経験をもとに日本人投手の特徴や癖はしっかりインプットしている。それだけではない。チームメートの気になった動きを見つけては積極的に助言も送るなど、献身的な姿勢も忘れない。気づきを大切にする姿勢が、今夜のヒーローをもたらした。

　昨季も自身のデビュー戦だった6月27日のDeNA戦で決勝の逆転3ランを放った。2年連続の“開幕弾”。今年も、勝負強さは健在だ。　（長谷川　凡記）

　○…サンズ（神）が4回と8回にいずれも勝ち越しとなるソロ。開幕戦で2本塁打した阪神の選手は67年サンケイ戦の山内一弘、90年広島戦の岡田彰布に次いで3人目。開幕戦に限らず、チームで肩書付きの殊勲本塁打を2本そろえたのは、20年9月15日巨人戦の近本以来。