市和歌山・小園が消えた 屈指の右腕が今大会12イニング目の失点に泣く「甲子園はすごく怖い場所」

[ 2021年3月27日 05:30 ]

第93回選抜高校野球大会第7日第3試合 2回戦   市和歌山1ー2明豊 ( 2021年3月26日    甲子園 )

<市和歌山・明豊>7回2死三塁、市和歌山・小園は明豊の代打・竹下に勝ち越しの左前適時打を浴び、汗を拭う (撮影・後藤 大輝)
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 2年ぶりの8強入りを狙った市和歌山は明豊に競り負けた。152キロ右腕の小園健太投手(3年)が5回から救援し同点の7回に決勝打を許した。2試合計14イニングで唯一の失点「1」が最後まで響いた。

 甲子園からの去り際、小園健太はスコアボードを見上げ、中学からバッテリーを組む松川虎生(こう)に言葉をかけた。「打たれてゴメン」。「気にするな。夏に来よう」。気持ちは通じていた。

 1点ビハインドの5回から登板。「小園だけではトーナメントは勝ち抜けない。球数制限も頭にあった」と言う半田真一監督の構想は理解していた。目標は優勝。ここから1週間の4試合を500球以内で勝ち抜くための起用法だった。5回にこの日の最速147キロを計測するなど2三振を奪い6回も無安打でチームに勢いを与えた。だが、同点直後の7回、2死三塁から代打竹下聖人にスライダーを左前に運ばれた。甲子園12イニング目の初失点で夢を打ち砕かれた。

 「エースの投球で流れを持ってこないといけないのに、最悪の投球をしてしまった。変に気負って、自分勝手な投球をしたと思う。悔いが残ります」

 5回70球を投げ5奪三振で1失点。完封した1回戦の130球と合わせ2試合計200球で聖地に別れを告げることになった。足のサイズは開幕投手を務めた阪神・藤浪晋太郎と同じ30センチで、太腿回りはエンゼルス・大谷翔平の花巻東時代と同じ63センチ。強じんな下半身のエンジンをさらに鍛えて夏に向かう。

 「夢に見た甲子園は素晴らしいけど、同時にすごく怖い場所でした。この悔しさは絶対に忘れない」

 9校が出場した公立校の砦(とりで)も守れず09年清峰以来の公立校Vも果たせなかった。最後の夏、聖地から与えられた宿題の答えを出すために剛腕はまた前に進む。 (鈴木 光)

 ○…松川虎生が意地の同点打を放った。6回1死二塁で真ん中高めにきたチェンジアップを中前にはじき返した。「ここぞというときに回ってくると思っていた」。ただ、決勝打を許した7回の配球で最後にスライダーを選択したことに「振り返ると相手は直球を待っていなかった。僕のサインの出し方が悪かった」と悔いた。

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