【南福岡】「ばり速いやん」福岡大大濠 甲子園でも光ったリズム抜群の鉄壁守備

[ 2018年7月28日 08:00 ]

第71回大会準々決勝   福岡大大濠0―1秋田経法大付 ( 1989年8月20日    甲子園 )

<福井商・福岡大大濠>2戦連続完封で8強入りへと導いた福岡大大濠・木村投手
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 【スポニチ社員が選ぶわが故郷のベストゲーム】この夏、全国高校野球選手権大会は100回目。ふるさとチームの甲子園での活躍に熱くなった記憶を、北北海道から沖縄まで、今夏の代表校数と同じ56人のスポニチ社員がつづります。

 「ばり(とても)、捕ってから速いやん」。私が8歳の頃、テレビで見た福岡大大濠の甲子園での衝撃的なボール回しだ。さらにエース木村―桜井のバッテリーもテンポが、ばり速い。高校受験で私は公立校は受けずに、福岡大大濠の野球部に入った。

 「おはようございます!」。学帽を深くかぶり、制服のカラーを付けたまま学校の隣にある、夜の大濠公園であいさつの練習。「そこは、こんばんはやろ!」と思っていたが一般生入学の私達は特待、推薦生の仲間に「頼むけん、声、出して」と言われ続けた。当時はゴリゴリの男子校。上下関係は、厳しかった。

 現在は3学年先輩の八木啓伸監督が率いるが、私が教わったのは夏の甲子園3度の出場で通算5勝3敗の中野正英監督。中野先生は大濠史上最高成績となった準々決勝の試合をこう回顧してくれた。

 「1年生の細身左腕の中川に遅いボールば、打たされたもんなー。いつの間にか終わっとったもんなー。史上最強ではなかった。試合するたびに、乗っていった感じやね」。

 エース木村は9安打1失点と粘投も、大濠は5安打完封され、夏が終わった。全4試合での失策は福井商戦での「1」。リズム抜群の鉄壁守備は、聖地でも光った。打撃では1番藤野の徹底した逆方向狙い、2番桜井の絶対にミスをしない犠打からのチャンスメークは実に清々しかった。

 「桜井ば、目指さんか」。我々は、先生方に常に言われ続けていた。桜井さんは一般生入学で、成績はオール5、甲子園8強。一方の私は評定平均「3・5」で付属の福岡大へ進んだ。大濠を取材する場合、ボール回しのキレと、一般生のレギュラーがいないか、いつも気になっている。

 ◆井上 満夫(西部総局編集部)福岡市博多区出身。福大大濠では左右の腕相撲だけは負けなし。「井上、バット振っとけ」と公式戦で中野監督に言われたことはある、一発出番待ちのランナーコーチ。コーチャーズボックスで腕を回し、赤とんぼを捕まえつつ夏は地方大会で試合終了。

 <福岡データ>

夏の出場 87回(通算91勝83敗)

最高成績 優勝4回(小倉=1947、48年、三池工=65年、西日本短大付=92年)

最多出場 小倉(10)

最多勝利 小倉(15)

出場経験 28校、うち未勝利8校(今夏、折尾愛真と沖学園が初出場)

 ※データは北福岡、南福岡を合算

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