【岩手】大船渡 佐々木朗希 高2の大谷超えた自己最速154キロ 楽天スカウト「本物」

[ 2018年7月11日 05:30 ]

第100回全国高校野球選手権岩手大会2回戦   大船渡11―2盛岡三 ( 2018年7月10日    岩手県営 )

<大船渡・盛岡三>力投する大船渡・佐々木朗(撮影・会津 智海)
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 第100回全国高校野球選手権記念大会(8月5日から17日間、甲子園)の地方大会は10日、22大会で153試合が行われた。岩手大会では大船渡の佐々木朗希(ろうき)投手(2年)が2回戦の盛岡三戦に「1番・投手」で出場。自己最速の154キロを計測し、11三振を奪って2失点完投。打っても3安打と投打で活躍した。

 岩手県営球場がいきなりどよめく。初回、先頭打者への初球に153キロ。自己最速タイを計測した佐々木朗は2球目も153キロを投げ込んだ。いずれもボール。「最初は力が入らず、高めに浮いて思うように投げられなかった」と振り返ったが、強くしなやかな腕の振りから放たれたボールはうなりを上げた。

 1―0の2回、スライダーを先頭の佐々木莉に同点ソロを浴びた。「(人生で)初めてホームランを打たれた。悔しい」。闘争心に火が付いた。次打者に154キロを2球続けた。いずれもボールとなり「スピードじゃない」と首を振ったが、自己最速を1キロ更新した。岩手県営球場は、12年夏に同じ岩手県出身の大谷が花巻東3年時に岩手大会準決勝で160キロを叩き出した場所だ。その大谷でも2年時の最速は151キロで佐々木朗は上回る。

 1メートル89の大型右腕。昨夏から体づくりに取り組み、体重を増やすために1日6合のご飯を食べた。そのかいあって体重は10キロ増え、81キロに。春の県大会1回戦では153キロを計測した。そして夏に向け、フォークを習得。この日の150キロ超えは36球を数えた。フォークを織り交ぜて緩急をつけ、11個の三振の山を築き、シード校の盛岡三を圧倒した。

 50メートル5秒9の快足を誇り、1番を任される2年生は「つなぐこと」を意識。3回に右前打で出塁し、5連打2得点の火付け役となった。7回にも左前打、8得点で試合を決めた9回にも中前打を放った。大谷をほうふつさせる二刀流劇場。投げては142球の熱投で2失点完投、打っても3安打を放ち「3年生と勝ててうれしく思います」と喜んだ。

 まだ2年生だが、プロも3球団が夏初戦を視察。地元・東北の楽天・宮越徹スカウトは「本物。来年は155キロを超えるんじゃ…。どこまで伸びるか分かりませんね」と驚きを隠せない。国保陽平監督は「まだまだここから」と言い、さらなる成長への期待を込めてエースながら背番号は20だ。100回の記念大会に出現した新怪物。佐々木は最後にこう言った。「甲子園に出場して、甲子園最速(156キロ)を投げたい」。その先には大谷が高校時代に出した160キロを見据えている。 (武本 万里絵)

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