美帆は「世界最強のオールラウンダー」“五輪の申し子”聖子会長が金メダル祝福

[ 2022年2月18日 05:30 ]

北京五輪第14日 スピードスケート女子1000メートル ( 2022年2月17日    国家スピードスケート館 )

スピードスケート女子1000メートル金メダルの高木美帆(撮影・小海途 良幹)
Photo By スポニチ

 88年カルガリー、92年アルベールビル両冬季五輪で個人5種目に出場した“元祖オールラウンダー”で、東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長(57)が高木美帆の金メダル獲得を祝福し、偉業を称えた。

 金メダル、おめでとう。500メートルがいい滑りだったので、前半の持ち味を出せていなかった1500メートルの反省点を生かして調整できれば、1000メートルの金は間違いないと思っていました。

 中学3年の全日本選手権で初めて美帆を見た時にはビックリしました。運動の素質が他の選手とは全然違う。サッカーでも年代別の代表候補合宿に呼ばれていて、私はどっちもやれば、と言っていました。どのスポーツをやっても凄い選手になっていたと思います。

 バンクーバー五輪の後のことだと思います。1500メートルが好きだということで、500メートルのスピードと3000メートルを滑りきる持久力を身につけないと世界では通用しないよと話しました。1500メートルはきつくて難しい競技です。短距離の強い選手が前半飛ばして貯金して後半も何とか滑りきるか、長距離の強い選手が前半は速くないけれど、後半を落とさずにまとめるかがほとんど。ただ、それでは世界で勝てない。トップスピードをどれだけ最後まで維持するか。彼女が自分なりに考えてトレーニングして、今があるのだと思います。

 私も現役時代は(80年レークプラシッド五輪で500メートルから1万メートルまで全5種目制覇した)エリック・ハイデン(米国)が目標で、全種目に出場していました。ただ、周囲からはバカじゃないのか、無謀だ、と言われました。今も昔も全種目に出場する選手はほとんどいません。滑り方は全て違う。蹴り方、コーナーの入り方など、毎回切り替えなければいけない。それに1つレースに出ると、乳酸がたまって、筋肉が動かなくなる。普通なら回復に3日かかります。美帆の500メートルを見ていると、カーブからストレートに入った時の滑りは短距離のスペシャリストのようでした。滑りの切り替えは本当にうまい。滑り込んで調子を上げていくタイプで、疲れを早く回復させる能力も高い。だからこそのオールラウンダーなのだと思います。

 ハイデンの時代と違い、今は全ての種目にスペシャリストがいます。その中で力を発揮する美帆は今までの中でも世界最強でしょう。私は全部メダルを目指しましたが、複数メダルは無理でしたし、入賞どまりでした。

 伸び悩んだ時期には、周りから種目を絞るようにと説得される時がくるのかなと思っていました。よくヨハン・コーチは育てたなと思います。あの強いオランダにもこんな選手はいないです。

 私の想像ですが、もうすぐに26年大会のことを考えていくのかなと思います。1500メートルで金を獲れなかった悔しさは大きいでしょうし、また狙いにいくと思いますよ。(東京五輪・パラリンピック組織委員会会長)

 ◇橋本 聖子(はしもと・せいこ)1964年(昭39)10月5日生まれ、北海道出身の57歳。84年サラエボ大会にスピードスケートで冬季五輪初出場。88年カルガリー大会では5種目全て日本記録で入賞。92年アルベールビル大会の女子1500メートルで冬季五輪日本女子初の銅メダルを獲得。夏季の自転車と合わせて日本女子最多の五輪出場7回。95年に参院選で初当選。日本スケート連盟会長などを歴任。21年2月に東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の会長に就任。

 《“鉄のスケーター”に並んだ日本勢最多5種目完走》5種目挑戦は日本勢で88年カルガリー、92年アルベールビルの橋本聖子、06年トリノの田畑真紀と並ぶ最多タイ。高木美は橋本氏の存在について「スケート連盟のトップとして、私たちがスケートを取り組む環境をつくってくださっている方という印象が強い。スケーターの印象は薄いところはある」と語った。

続きを表示

2022年2月18日のニュース