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【コラム】海外通信員

セリエA得点王 36歳クアリアレッラの可能性は!?

[ 2019年4月24日 16:30 ]

19年3月にはイタリア代表にも復帰した35歳FWファビオ・クアリアレッラ(サンプドリア)
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 クリスティアーノ・ロナウドは、移籍1年目でユベントスを優勝に導いた。もっとも得点王の奪取については、現在のところライバルが多い。ジェノアでブレイクし、1月にミランへ移籍した後も新エースストライカーとして定着しているクシシュトフ・ピョンテク、アタランタで潜在能力をついに開花せたコロンビア代表FWのドゥバン・サパタ、そしてサンプドリアのベテラン、ファビオ・クアリアレッラだ。36歳のストライカーは、33節を終了した時点で22得点(7PK)と得点ランキングのトップを行っている。

 ナポリ近郊の出身で、トリノの下部組織で育てプロデビューを果たしたのち、流浪のサッカー人生を歩んでいた。サンプからウディネーゼ、ナポリにユベントス、そしてトリノに戻ったのち2016年からサンプドリアに戻る。シュートのうまさで知られていたが、本来のプレースタイルは前線で動いてチャンスを作る役割だ。シーズンでは2桁ゴールに乗せることができる選手である一方、チームのエースストライカーとして活躍するタイプの選手ではなかった。非常に難易度の高いシュートをやすやすと決めることできる一方、イージーなシュートを外してしまい、サポーターの批判を浴びることもあった。

 しかしその彼が、この2年間で点取り屋として覚醒を果たしている。昨シーズンは35歳にして、今までの個人記録を超える19ゴールを達成。すると今シーズンには、さらなる得点ペースを稼ぎ出した。ガブリエル・バティストゥータの樹立したセリエA記録に並ぶ11試合連続ゴール。「バティの名前を出しただけで身が震える思いがした」と、地元メディアのインタビューに対し目を潤ませながら答えていた。3月にはなんと9年ぶりにイタリア代表にも復帰し、欧州選手権予選のリヒテンシュタイン戦では2ゴールを挙げた。イタリア代表では歴代最年長の記録だ。

 ここまで遅まきながら伸びた理由は、コンディション維持のために生活習慣を変えたことにあるようだ。日々健康的な生活を心掛け、夜も出歩かない。「もう僕のような年齢だと、エネルギーをリカバリーするためにはちゃんと休まないとといけないことが分かったとは」彼の弁だ。食事にも気をつかい、夜には炭水化物の摂取を控え、昼には魚か鳥のささみ。節制はシーズンオフの間も続けられる。パーティーの席に呼ばれてもアルコールを口にしたところを目撃されたことがなく、バカンス中の飲み物も全てカロリーオフで徹底しているという。その結果、体のコンディションは常に良好。サンプドリアのマルコ・ジャンパオロ監督は「彼は若さを保っている。練習も休まないし、この調子なら40歳になっても現役なんじゃないかと思う」と舌を巻く。

 次なる目標は、イタリア代表の欧州選手権予選通過と、2020年の本大会出場か。クアリアレッラ自身は「その時その時で様子を見ながら、”有視界航行”で進みたい。とりあえずリーグ戦を楽しむよ」と、36歳で訪れた第二の”青年期”を謳歌する。(神尾光臣=イタリア通信員)

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