【コラム】海外通信員

リヴァプール南野が今後生き残るポジションとその方法は?

[ 2020年1月27日 15:00 ]

 南野のプレミアリーグデビューは、ウルブス戦の前半33分FWサディオ・マネの負傷によって訪れた。

 南野加入以前であれば、FWオリギもしくはMFファビーニョの投入が定石であっただろう。誰もが想像していたよりも早い時間帯に背番号18番の日本人は投入された。

 デビュー戦後のクロップ監督の南野の評価は、「スーパー!」

 もちろんこの一言には、移籍してまもない南野へのプレッシャーを和らげるためのリップサービスが含まれている。スーパーという賞賛を鵜呑みにしてはいけないが、クロップ監督の下では何かの魔法にかかったようにチームが進化し、個々の選手たちが躍動することは幾度となく目にしてきた。

 現在のリヴァプールはチーム全体が規律と献身性を高いレベルで保たれたうえ、個人の長所や特性が存分に発揮されている。はじめて彼らの試合を見た人でも、チームがどのようなサッカーをプレイしたいのか、また、GK、DF、MF、FWそれぞれの選手の特徴を捉えることができるだろう。だからこそ南野もクロップマジックにかかり当時ドルトムントに所属していた香川のような無双状態が見られるのではないかという期待をせずにはいられない。

 さて、デビュー戦のプレーの出来具合を客観的に見直してみると、可もなく不可もなくという内容であった。チーム戦術を理解し、ウルブスの組み立て時には献身的な走りを見せ守備のギャップを埋めていた。攻撃ではつなぎ役としてテンポを作り、ゴール前では後半に左サイドのサラからのパスでシュートシーンを一つ作った。南野がボールを要求場面でボールはほぼ入らなかったが、試合から消えてしまう時間は少なく及第点にあたるだろう。

 しかしながら、チームを救う別格の活躍をしたのは他選手たちであった。ここ1年以上プレミアリーグで負けを知らないチームの強さは本物で、GKアリソンのスーパーセーブやFWフィルミーノの落ち着きはらった勝ち越しゴールは王者としての余裕が感じ取られた。

 では、今後のシーズン終盤に向けて南野はどのようなポジションで活躍し、チームの中でポジションを確立していけばよいのだろうか?

 そういった意味でもクロップ監督の試合翌日の会見は注目された。

 「タキ(南野)は多くのポジションをこなすことができる。昨日のゲームで彼はやるべきプレーをできていた。それは次のゲームのことを語るよりも非常に重要なことである。彼が、この激しいインテンシティの中でどのようにリアクションができるか見極めたい。まだ多くの時間を過ごしていないので彼のことを理解できていないが時間が解決してくれるだろう。」

 このクロップ監督の言葉が示しているように、一つのポジションではなく複数のポジションをこなす役割をこなしていくことになるだろう。そして南野をどのようにプレーさせていくかは、まだまだ見極め段階にある。前線の最強3トップであるサラ、マネ、フィルミーノから居場所を奪いとることは至難な業であるが、プレミアリーグ、CL、FA 杯の過密日程のなかでは必ずチャンスが巡ってくるだろう。

 南野のチーム内でのポジション争いについては、現地紙でも起用方法が議論されている。

 デイリーメールによれば、1つ目はフィルミーノの代役。フィルミーノは3トップに中央に位置しながらも中盤まで降りてきてリンクさせる動きをよく見せている。この動きは中盤でパスを繋ぐ役割だけはなく、サラとマネのスピードを活かす一発のロングパスが生む効果がある。南野自身もザルツブルグ時代にこの役割をこなしてきた。相手センターバックにとって、南野についていくべきか、そのままの場所に留まるべきかの一瞬の混乱をきたす。

 南野は非常に賢い選手である。相手ディフェンスラインのポケット(DFとMFラインのスペース)を見つける能力に長けている。サイドバックが非常に高い位置をとるリヴァプールでは、ゴール前の非常に狭いスペースでボールを受ける場面も増えるだろう。今シーズンのCLグループリーグにおいて技術的な質に加えて自信を持ったプレー判断を発揮できたことが今回の移籍につながった。フィルミーノの代役として、ゴールとアシストという目に見える結果を出すためにはペナルティエリア内でのタッチ回数を増やす必要があるだろう。そして、FA 杯などの先発で起用された機会でなるべく早い時期に印象に残るプレーを残したい。

 そして2つ目は、フォーメーションを4-2-3-1としてのトップ下での起用だ。現地紙は、こちらの方が南野の特徴を考えるとより適正な形になるだろうと予想している。

 実は、クロップ監督は今シーズンのワトフォード戦でこのシステムを試しており、FA杯もしくはリーグ戦で試すことがあるだろうと予見している。この場合はシャキリとポジションを争うことになるだろうが、シャキリとの共存を考慮しても面白い攻撃が展開されるだろう。まだ南野には、味方選手から信頼をされたパスをそれほど多く供給されてこない。それを打開し好循環を生むためには、デビュー間もない時期にゴールが欲しい。現在のリヴァプールは、どんなチームに対してもアグレッシブさを失わずにゴール前に迫ることができるので、自然と南野にチャンスはまわってくるだろう。

 当時の中田英寿が所属していたローマ、もしくは香川がいたマンチェスターユナイテッドよりもチーム力は上回っているかもしれない。そんなビッグクラブでの挑戦を成功を収めるために、第一段階がどのような展開になるのだろうか目が離せない。(ロンドン通信員=竹山友陽)

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