【コラム】海外通信員

SNSの使い方にはご注意を ルカク、軽率発言の裏側

[ 2020年4月24日 07:00 ]

 現在ロックダウン中のイタリア。ご存知の通りサッカー・セリエAのリーグ戦は目下中断中である。外出は食料品を買うときのような必要最低限の場合に限定され、自己証明書の携帯がない場合には『説明できない不要不急の外出をした』とみなされて罰金の対象となってしまう。大好きな友人、仲間たちにも気軽に会えない中、コミュニケーションの重要なツールとなるのはPC上のウェブカムやスマートフォンなどのネット端末である。メッセージングサービスにビデオ通話、そしてSNSのグループ…。そしてそれは、サッカー関係者も同様である。

 結婚ないしはガールフレンドと同居している選手たちは、カップルでのトレーニング動画をアップ。アタランタの主将アレハンドロ・ゴメスは、家族と一緒におもしろ動画を投稿。ゴミとなったペットボトルを使って、ペン立てや歯磨き立てなどの手作り生活雑貨をアップしていた。試合はおろか練習さえできなくなり、自宅にいることを余儀なくされた選手たちにとって、大事なコミュニケーションツール。ファンサービスとして活用するクラブも現れており、SNSのライブ機能を活用してファンからの質問に応えたり、また選手が一人暮らしの年配のファンにダイレクトコールを行うなどというサービスも行ったクラブもあった。

 そんな中、SNS上のやりとりが思わぬ騒動を産んだ選手がいた。インテル・ミラノのベルギー代表FWロメル・ルカクだ。21日、SNS『インスタグラム』のライブ機能を開き、仲良しの人とのおしゃべりを公開していた彼は、同郷のナポリFWドリース・メルテンスの妻カトリンさんと話をする。するとそこで、大変なことを口走ってしまったのである。

 「クリスマスに一週間ぐらい休暇があっただろ。それが明けてチームに戻ってきたら、25人中23人が体の具合を悪くしてたんだ。ウソじゃないよ?で、(1月26日の)カリアリ戦では25分ぐらいしてシュクリニアルが交代してね。もう気絶しそうになってたんだぜ。みんな咳をしてて、熱もあった。正直僕も体調悪かったかな。だってアップしたらすごく体が熱くなって。今まで何年の熱なんて出したことなかったのに。試合が終わった後でスポンサーから食事に招かれたけど、断って家で寝たよ。今のところ、僕らはウイルス検査をしていない。だからどうだったか分からないけど、ひょっとしたらコロナだったのかもしれないねえ」

 会話はフラマン語で行われたものの、訳されてイタリアのクラブ関係者の耳に届くのに時間は掛からなかった。さあ大変である。クラブにとっては選手の調子が悪いのに隠蔽していたのかという疑惑を持たれることになるからだ。もっともクラブ側は、これらの選手の体調変化を正確に把握しその都度発表していた。1、2月の間に風邪の症状を訴えて休んだ選手は合計で4人のみ。カリアリ戦で体調を崩したミラン・シュクリニアルにしても、医師は直ちに「風邪の症状だ」と発表していた(本人の希望で試合を強行)。そもそも1月末の時点で、コロナウイルスのイタリア国内感染は確認されていなかった。もし感染が進んでいたのなら、感染はもう少し広がっていてもおかしくなったはずである。

 インテルはその後ルカクに確認を求め、本人は謝罪。クラブもそれ以上の処分を求めずに済ませたという。実態の掴めていない新型コロナウイルス感染症、ルカクが募らせる心配は我々もしているようなところだと思うのだが、話す場を間違えると大騒ぎを呼んでしまう。皆様くれぐれも、SNSの使い方にはご注意を。(神尾光臣=イタリア通信員)

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