【コラム】海外通信員

埋められないロナウドの抜けた穴 レアル、今季も無冠の可能性

[ 2020年2月29日 10:00 ]

 改めて、レアル・マドリードにとってクリスティアーノ・ロナウドの存在は大きかった。彼がクラブが退団したのは2018年夏のことで、もう1年半が経つものの、彼が空けた穴は一向に埋まっていない。

 チャンピオンズリーグ(CL)三連覇を果たして、C・ロナウド、また監督のジネディーヌ・ジダンが退団した直後となる昨シーズン。レアルはCL、リーガ・エスパニョーラ、スペイン国王杯の優勝を3月の段階であきらめざるを得なかった。その後にジダンが復帰を果たして、チームは今季から再び上向くと思われたが、いまだに得点力不足が尾を引いている。

 レアルの歴代最多得点者であるC・ロナウドが残した最終的な記録は、438試合450得点。彼がいれば1試合につき1得点が保証されるというのは、決して誇張ではない。レアルは昨夏にMFエデン・アザールを獲得して、同選手とメインの点取り屋となったFWカリム・ベンゼマのコンビネーションで得点力を取り戻そうとした。が、アザールが怪我に怪我を重ね、ベンゼマが今年に入ってわずか2得点しか決めていないなど調子を落とし、思惑通りに行っていない。こうしてC・ロナウド「以前」と「以後」の得点数は、大きな隔たりが生じることになった。

 データを羅列しよう。レアルがC・ロナウド在籍期間に臨んだ438試合の内、無得点だったのは36試合(全体の8%)にとどまり、C・ロナウド退団後の94試合では21試合(22%)を無得点で終えている。ジダンが率いるレアルについては、C・ロナウドがいた第一次体制では149試合の内9試合が無失点(6%)で、第二次体制では48試合の内11試合が無失点(22%)。ゴールに必要な平均シュート数は昨季6.9本、今季6.8本だったのに対して、C・ロナウドがいた頃はまだ1試合1得点のペースではなかった加入シーズンを除いて、6本を上回ることはなかった。

 さらにリーガにおいては、第25節でバルセロナがリーガ通算得点数を6151得点としてレアルを1点上回った。C・ロナウド退団時、マドリーはバルセロナに42点差をつけていたものの、それから62試合後に抜かれることに。しかも42点という数字は、クリスティアーノがマドリー退団後に決めた得点数と見事に一致していたなど、何だかオカルトじみてもいる。

 ジダンはC・ロナウドがいないチームを守備重視の方策でやり繰りしようとし、途中までは機能していたように見えたものの、ここに来て失点を繰り返すようになった。そうなるとレアルは、C・ロナウドがいない分だけ得点数を減らしたチーム、ということにしかならない。

 もちろん、C・ロナウドだって歳を重ねるわけであり、いつの日かレアルを去ることは避けられなかった。しかし彼がいなくなって、まさかここまで右往左往することになるとは……。C・ロナウドのレアル退団が決定した翌日、スペインのスポーツ紙『マルカ』は「匹敵する者は存在し得ない。ゴールの伝説、クリスティアーノが去る」との見出しを打ったが、今は「現在のレアルは彼のいたチームに匹敵し得ない」ことになっている。すでに国王杯を落としているレアルが今季も無冠でシーズンを終えることになったならば……、彼の退団が落とした影はさらに濃くなっていくだろう。(江間慎一郎=マドリード通信員)

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