【コラム】海外通信員

新型コロナウイルスの影響 欧州サッカー界は混乱の渦へ

[ 2020年3月12日 16:00 ]

 イングランド・プレミアリーグは新型コロナウイルスの影響で、3月11日に予定されていたマンチェスター・ シティー対アーセナルを延期すると発表した。

 イタリア、スペインなど欧州各国リーグで試合延期、無観客試合開催と新型コロナウイルスの影響が広がっている中、プレミアリーグはこれまで予定通り試合が行われてきたが、英国内でも事態は急転している。

 アーセナルは2月27日に欧州リーグでオリンピアコス(ギリシャ)と対戦し、試合後にオリンピアコスのマリナキス・オーナーが新型コロナウイルスに感染していたことを発表。同オーナーがアーセナルの選手やスタッフと接触していたことがわかり、選手、スタッフの2週間の自宅待機の隔離措置がなされ、これが試合延期を決定した大きな要因の一つとなった。プレミアリーグは3月11日の時点では、他の試合開催については変更がないと述べているが、状況は刻一刻と変化しており、政府の医学的ガイドラインに基づく予防措置が随時発表されていくことになるだろう。

 ファン、クラブはこれらの延期や中止の方針を受け入れる以外に選択はないのだが、シーズン閉幕まで残り二ヶ月を切ったプレミアリーグの運営は混乱の渦が待ち構えている。

 欧州において、スポーツビジネス学で著名なサイモン・チャドウィック教授は、現地メディアのインタビューに次のように事態を説明した。

 「起こりうる事態を想定するのは時期早々かもしれないが、事態が深刻化すればフットボール界に迫る問題は多々あるだろう。まず、日程問題はかなり深刻だ。すでに試合が開催できる枠はほぼ埋まっており、3月と4月までも試合開催の影響を受けることになればシーズンが短縮される可能性もある。

 それに伴ってタイトルレースに影響を及ぼすこととなる。現在首位のリヴァプールが25ポイントの差を2位のマンシティにつけており、優勝の可能性は非常に高い。しかしながら、このままリーグの継続が危ぶまれ、シーズン途中で終了となれば、今シーズンの優勝者をなしとするか?もしくは現在首位のリヴァプールが王者になるべきなのかと大変な騒ぎとなるだろう。また昇格、降格の議論も同じくだ。さらに下部リーグのクラブに関しては、もし無観客試合が開催されれば経済的なダメージが非常に大きくなる。どのような決定がなされるか、政府を巻き込んだ上での議論とお互いの意図を汲んだ解決案が求められている。」

 セリエAでは、ユヴェントス対インテルを含む第26節の6試合が無観客試合で開催された。今後数カ月の間は、無観客試合の是非が、世界中のスポーツイベントで議論されることになるであろう。この問題に関して、マンチェスターシティのグアルディオラ監督は試合前の記者会見で次のような意見を述べている。

 「フットボールの試合で観客がいない状態でプレーする価値があるかどうか、それが問題となる。我々の仕事は、人々に見てもらうためにプレーすることだ。観客がいない状況では、私個人としてはプレミアリーグもCLもプレーしたいと思わない。もちろん、政府の指示には従わなければならないだろう。世界中の人がいまこの状況に巻き込まれている、やらなければならないことをやるだけで、指示にしたがって行動しなければならない。」

 前代未聞の新型コロナウイルスの影響は、迷宮の入り口にスポーツ界全体を巻き込もうとしている。この夏は、EURO2020や東京オリンピックを控えており、この数週間において具体的な解決策がどのように形で示されるのか世界中が注目している。(ロンドン通信員=竹山友陽)

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