【コラム】海外通信員

ブラジル五輪代表 東京五輪への意気込み

[ 2021年5月15日 10:00 ]

 日本では新型コロナの第4波が広がり東京五輪の開催について議論がなされているところだが、各国は開催の方向で準備を進めている。リオ五輪の男子サッカーで金メダルを取ったブラジルはディフェンディングチャンピオンとして、当然、東京五輪でも連覇を狙っている。

 4月にはグループリーグの組み合わせが決まったが、ブラジルはリオ五輪の決勝で戦ったドイツと同組になった。

▼グループA
日本、南ア、メキシコ、フランス

▼グループB
ニュージーランド、韓国、ホンジュラス、ルーマニア

▼グループC
エジプト、スペイン、アルゼンチン、オーストラリア

▼グループD
ブラジル、ドイツ、コートジボワール、サウジアラビア

 ブラジルの初戦は7月21日、横浜の日産スタジアムで予定されている。日産スタジアムといえば、ブラジルにとって2002年日韓W杯でドイツを破って5回目優勝を決めた験の良いスタジアムである。さらには、ドイツはブラジルにとってアルゼンチン以外では究極のライバルということで、2014年W杯では7-1で負けたが、リオ五輪の決勝ではリベンジで勝利した。この好カードは初戦からエンジン全開になりそうな予感がムンムンする。

 「ドイツと初戦を迎えられることは嬉しい。ブラジルは2002年W杯決勝、リオ五輪決勝と決定戦でドイツを破って優勝している。決勝のカードにも値する対決を初戦にできるなんて、ワクワクする。選手にとって、選手生命を賭けるような一戦だからこそ、素晴らしい試合になるようにチームを最高の状態に整えたい。」(アンドレ・ジャルジーニ監督)

 IOCへのメンバーの最終リスト提出期限は6月30日なので、それまでできる限りの準備を進める。金メダルを手中に収めるにはオーバーエイジ枠を最大限生かしたいとジャルジーニ監督は望んでいる。特に、リオ五輪金メダルメンバーのGKのウェヴェルトン(パルメイラス)とネイマール(PSG)が熱望されている。

 「我々には、素晴らしいいGKたちがいるが、経験豊富な選手も一人連れて行きたいと思っている。」とジャルジーニ監督が言うようにウェヴェルトンへの信頼は厚い。

 問題はネイマールだ。ネイマール自身は、五輪出場に意欲を持っており、PSGに対して、オフシーズンに行われるコパアメリカ南米選手権と東京五輪への参加を主張している。が、五輪はFIFAのオフィシャル大会でないため、所属クラブは選手の貸し出しが義務ではない。

 ジャルジーニ監督は「連覇にはブラジルナンバー1のプレーヤーであるネイマールの存在が絶対だ。ネイマールがいることでクオリティがグッと上がり、彼の存在、プレーがチームを強くする。ただ、この件に関しては監督のレベルを超えて、クラブとサッカー連盟との話し合いになる。」

 というのも、ネイマールのチームメイトのムバッペもPSGからフランス五輪代表として五輪への参加が許可されていないのだ。

 今のところ、ネイマールが参加を許可されるのは、6月13日から7月10日にコロンビアとアルゼンチンで開催されるコパアメリカだけになり、東京五輪には出場できないだろうと言われている。

 東京五輪が1年延期になったことで、選手たちは国内外ともに、それぞれのクラブの主力に成長している。監督にとっては嬉しいことでもあり、クラブとの交渉も重要だ。

 例えば、レアル・マドリッドにはロドリゴ(20歳)、ヴィニシウスJr(20歳)、エデル・ミリトン(23歳)がいる。

 ロドリゴとヴィニシウスへの期待はもちろん大きいが、23歳のエデル・ミリトンへの期待も特別なものがある。短期決戦の大会では、急な怪我、累積イエローカードなど、選手が足りなくなった時に、ポリバレントな選手がキーマンとなる。エデルは身長186cmのフィジカルも強固で、DFもSBもこなすユーティリティー性が特徴だ。

 「急成長している若手選手。ポテンシャルの高い、個性的な選手だ。若い選手がレアルのようなメガクラブでGKやDFラインを守ることは非常に珍しい。そんな中、彼はミスが許されない難しいポジションを任されている。ただ、彼はセレソンA代表の選手でもあるので、チッチ監督とも話し合わなければならない。」(ジャルジーニ監督)

 東京五輪のグループの組み合わせが決まって、FWリシャリソン(23歳、エヴァートン)、FWヴィニッシウスJr(20歳、レアルマドリッド)、FWパウリーニョ(20歳、バイエルン・レヴァークーゼン)たちが五輪への意欲をSNSで表した。リシャルソンはすでにA代表で活躍しているが、五輪世代でもあり、本人も意欲を示している。ここからは、クラブとの交渉次第となる。

 「ブラジルサッカー連盟としては、最高のチームで東京五輪に臨みたい。」と育成世代部のブランコ部長は意気込む。

 ブラジル男子代表は女子代表と共に、7月初旬に、まずアメリカのポートランドに渡り直前合宿を行ってから、日本に向かう予定だ。(大野美夏=サンパウロ通信員)

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