【コラム】海外通信員

アルゼンチン・リーグ戦10月再開予定!? 不安はゲーム感覚の鈍化

[ 2020年9月23日 15:00 ]

9月22日リベルタドーレス杯、ビナシオナル(チリ)に6-0で快勝したリーベル・プレート(アルゼンチン・写真青色ユニフォーム)
Photo By AP

 7月に寄稿した前回のコラムで、アルゼンチン1部リーグがいつスタートするのかは「全くわからない」と書いた。あれから2ヶ月経った9月下旬現在、アルゼンチン国内の新型コロナ感染状況はさらに悪化し、リーグ戦開幕日はまだ決まっていない。

 今アルゼンチンは総感染者数(64万人)で世界10位、死者数(1万4千人)では14位に位置している。連日およそ8000人から1万人の新規感染例が確認されており、3月3日に国内最初の感染者が出て以来最悪の状況にある。政府による強制隔離措置は6ヶ月間も続いており、その間に各自治体が段階的に様々な社会・経済活動を解禁してきたが、それに伴って地方での感染例が一気に増加。リオネル・メッシの故郷として知られるロサリオ市では8月に入ってから感染が広がり、医療崩壊寸前の緊迫した状態が続いている。

 そのような状況下でも、サッカー界においてはこの2ヶ月の間に進歩があった。8月初旬、政府から1部と2部リーグの全クラブにトレーニングを行う許可が下りたのだ。

 前回のコラムの内容を覚えている読者の方なら、ここで疑問に思うだろう。アルゼンチン国内でサッカーのチームがトレーニングを再開するにあたり、AFA(アルゼンチンサッカー協会)のクラウディオ・タピア会長が「全土において検疫フェーズが4にあること」を条件と定めていたからだ。フェーズ4とは「感染者倍増に要する日数が25日以上」、つまり感染拡大の勢いがある程度おさまった状態を意味するが、現在のアルゼンチンはそのような状況とはかけ離れているのだ。

 それでもトレーニング再開に踏み切ったのは、南米サッカー連盟が9月15日にコパ・リベルタドーレスを再開すると決定したからだった。コロナ禍でも徹底した衛生管理のもとで国内リーグを開催していた他の南米諸国はこの決断を歓迎したが、AFAは最後まで反対。少なくとも9月末まで延期することを提案するも聞き入れてもらえず、大急ぎでトレーニング再開を許可せざるを得ない事態となったのである。

 もちろん、これまで「全クラブが同時に活動を開始するべき」という姿勢を強調してきたタピア会長としては、コパ・リベルタドーレスに出場している5チーム(ボカ・ジュニオルス、リーベルプレート、ラシン、ティグレ、デフェンサ・イ・フスティシア)だけに練習許可を与えるわけにはいかない。そこで急遽、1部リーグに属する全24チームに新型コロナの抗体検査キットを配布し、感染防止ガイドラインも作成して活動開始に向けて動くこととなった。

 PCR検査ではなく抗体検査にしたのはコスト面の問題だが、その後一部のメディアが「抗体検査だけでは陽性のケースを見逃す可能性が高い」と指摘。専門家のアドバイスを受け、安全のために実費でPCR検査を行うクラブは少なくなかった。隣国ウルグアイではサッカー協会が1部リーグのクラブのPCR検査費用全額を負担したことをここに改めて記しておこう。

 さてこうしてトレーニングが始まり、当初はリーグ戦の開幕が9月25日になると言われていた。ところが国内の感染状況が前述のとおり日に日に悪化したため、予定日は10月に延期。それに向けて9月24日から、これまでは小グループに分かれて実施していたトレーニングをチーム全員参加型で行うことが許可され、親善試合もできることとなった。

 こうして結局、新型コロナウイルスが猛威を振るう真っ最中に活動を開始したアルゼンチンサッカー。AFAの関係者は「ガイドラインを守れば活動可能であることが証明された」と話しているが、それならば南米サッカー連盟からのプレッシャーを待たず、今ほど感染の影響がなかった時になぜ始められなかったのか。幸い、コパ・リベルタドーレスに出場しているチームからは6ヶ月間も試合から遠ざかっていたことによるゲーム感覚の鈍化は見られていないが、今回のコロナ禍でAFAの鈍い判断力と計画性、実行力のなさが浮き彫りになった。

 次回のコラムでは、とっくに始まっているはずのリーグ戦の話ではなく、10月開幕のW杯南米予選でメッシがアルゼンチン代表に復帰したという明るい話題をお届けできたら良いのだが。(藤坂ガルシア千鶴=ブエノスアイレス通信員)

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