【コラム】戸塚啓

U-24日本代表 文句なしのグループリーグ突破

[ 2021年7月30日 10:00 ]

 東京五輪を戦っていたU-24日本代表が、グループリーグを突破した。大会唯一の3連勝で、首位での準々決勝進出を決めた。日本のグループリーグ3連勝は、五輪では初めてのことでもある。

 南アフリカ、メキシコ、フランスとのグループは、“死の組”とも言われた。同じアジアから出場する韓国が、ルーマニア、ホンジュラス、ニュージーランドとのグループに振り分けられたのが、率直にうらやましく感じられたものだった。

 終わってみれば文句なしの戦いぶりである。そのなかで、経験値を高めることができた。

 南アフリカ戦との第1戦は、精神的に重圧のかかる試合だった。

 初戦特有の緊張感があった。無観客試合とはいえ、国際試合ならではの空気感もあったはずである。対戦相手の南アフリカに新型コロナウイルスの感染者が出て、当日まで試合が行なわれるかはっきりしない特異な状況にも立たされた。

 さらに言えば、グループ内の力関係を考えると絶対に落とせない。初戦で躓くわけにはいかない。間違いなく難しい試合である。1対0での勝利は、チーム全体にとって価値ある経験となった。

 メキシコとの第2戦では、序盤に2点のリードを奪った。先制した歓喜を引きずることなく、たたみかけるように2点目を奪った。

 2対0のまま迎えた68分には、メキシコが退場者を出した。11対10の数的優位に立った。

 メキシコは第1戦でフランスと対戦し、4対1で勝利している。得失点差を考えると3対0、4対0と持っていきたいが、それよりもまずは失点をしないことが優先される。2対0のまま試合を終わらせなければいけないのだが、85分に失点してしまった。それも、自陣で不用意な反則をし、直接FKを与えたことがきっかけだった。

 1点差に迫られたアディショナルタイムにも、自陣で直接FKを許してしまった。GK谷晃生の好セーブで、辛うじて失点を免れた。

 振り返れば南アフリカ戦でも、1対0としたあとに左サイドを複数回破られた。南アフリカ相手には選手交代で勝利を引き寄せたが、2試合連続で試合の終わらせかたに課題を残したと言える。

 フランスとの第3戦でも、メキシコ戦と同じようなシチュエーションに直面した。久保と酒井のゴールで前半を2対0で折り返し、72分にフランスが退場者を出したことで11対10となる。

 この試合で日本に求められたのは、引き分け以上の結果を残すことだった。得失点差を追い求めて、3点目を狙いにいく必要はない。条件が分かりやすかっただけに、「無理をする必要はない」という意識がチーム全体に広がっていったのだろう。メキシコに2対1に持ち込まれた経験も、教訓として生かされていたはずだ。相手の出かたを見ながら試合を進め、さらに2点を追加して4対0で勝利した。

 ここから先は一発勝負のトーナメントである。引き分けでもOKといった条件はないから、戦いかたははっきりしている。

 そのなかでも、0対0のまま推移する、先行する、追いかける、といった状況の変化が生まれていく。ピッチに立つ選手全員が瞬発力良く反応し、攻めるのか、守るのか、カウンターを仕掛けるのか、落ち着いて回すのか、といった判断を揃えていくことがポイントになる。

 ニュージーランド戦には、酒井が累積警告で出場できない。攻守に抜群の存在感を発揮している彼の不在も、チームを引き締める材料にしてほしいと思う。(戸塚啓=スポーツライター)

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