【コラム】海外通信員

長谷川唯 ミランにとってトップの補強

[ 2021年2月8日 12:00 ]

ACミラン・長谷川唯(クラブ公式ツイッターから)

 ミランは1月29日、フェンミニーレ(女子チーム)の新戦力として日本代表MF長谷川唯の獲得を発表した。サンマリノ・アカデミーMFサッスオーロの女子チームに所属するDF三橋眞奈に次いで、イタリア女子サッカーリーグのトップカテゴリー・セリエAフェンミニーレに日本人選手が参戦するのはこれで3人目だ。セリエAの男子には日本人選手がコンスタントに参戦するようになって久しいが、イタリアの女子リーグとはどういう場所なのか。

 イタリアに女子サッカーが持ち込まれたのは1933年のこと。そして1968年には、女子サッカー連盟が発足し各カテゴリーでの全国選手権が運営されるようになった。しかしイタリアではサッカーは男のスポーツだと考えられており、発展には苦労する。女子サッカー連盟は何度か組織編成を繰り返し、1986年に解散。その後イタリアサッカー連盟(FIGC)の傘下に入り、男子競技同様に運営されるようになった。

 だが2015年に、女子サッカー界は転機を迎えた。FIGCが、男子サッカーのプロクラブが女子チームを運営することを認めたのだ。これまでアマチュア競技として行われてきた同競技にとっては重要な決断だった。その後ユベントス、インテル、フィオレンティーナ、エンポリなどが相次いでクラブ傘下の女子チームを編成することで続々参入する。リーグを挙げて強化を図るムードは代表チームにも波及し、2019年の女子W杯では初参加となった1991年以来となるベスト8進出を果たした。

 こうして現在、イタリアの女子サッカー界は少しずつ活況を呈しはじめている。ユベントスの女子チームの試合では男子のトップチーム同様に男子のアリアンツ・スタジアムが使われ、重要な試合ではスタンドを満員にするほど注目度は高まっている。さらに2022年からはプロ化をすることも決定し、更なる発展を遂げていくことになるだろう。

 その中で長谷川を獲得したミランは、将来の覇権作りに野心を燃やすクラブの一つだ。2018年にブレシア女子チームのトップチームを吸収合併し、強豪への回帰を目指す男子同様、セリエA女子でも国内外の有力選手を集めて強化を図った。18-19シーズンから2期連続で3位入賞し、今シーズンは無敗の首位ユベントスをわずか勝ち点3で追いかけている。ミランでストライカーとして活躍したマウリツィオ・ガンツ監督のもと3バックシステムを敷き、スペイン代表の歴代最多得点者であるMFベロニカ・ボケーテに、イタリア代表FWバレンティーナ・ジャチンティらを軸とした攻撃サッカーで戦う。

 イタリア衛星テレビ局スカイ・スポーツの女子サッカー専門であるマルティーナ・アンジェリーニ記者は、スポーツニュースの中で「長谷川はミランにとってトップの補強。縦方向へのプレーを得意とする攻撃的MFで、ジャチンティの得点力を引き出す上でも理想的な補強だろう」と期待を示した。活況いちじるしいイタリアの女子サッカーの中で、長谷川がどう存在感を発揮するか注目される。(神尾光臣=イタリア通信員)

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