【コラム】海外通信員

ブラジル新大統領が決定し新たな風が!

 ついにブラジルに新たな風が吹いてきそうだ。ボルソナーロ新大統領の誕生だ。日本のメディアではやたらと『ブラジルのトランプ』という言葉だけが取り上げられていたが、単純な絶対的人気でボウソナーロが選ばれたわけではない。13年間政権を取っていた左派労働党に対して二度とごめんだ!とNOを突きつけたのだ。日本で言うなら、民主党に政権を渡してみたが、あまりにひどいので仕方なく自民党を推すという感覚だろうか。

 13年間労働党が政権を牛耳って、貧困層の底上げをしたが、経済、治安は悪化し、公的医療、公的教育なども悪化していくばかりになった。

 一時はBRICSと呼ばれ新興国として大きな躍進が期待され、2014W杯、2016リオ五輪とビッグイベントを開催しながらも、国内の景気は下がる一方で、なんのいいことも無かった。そればかりか、リオ五輪などは運営費の不足、借金などで五輪のために用意、作った施設などはレガシーにはつながらず、無駄使いとなって、リオの治安は悪化の一途。

 サンパウロなど大都市は治安は良くなることは無く、最近でもブラジルの医療に大きな貢献をしていた日系医師が強盗に拳銃で殺害されるという痛ましい、嘆かわしい事件が起こったばかりだ。

 南北に広いブラジルは気候はさまざまではあるが、極寒の地は無く全体的に暑いか、暖かく過ごしやすいところだ。また、地震、山火事、津波、洪水、台風、ハリケーン、サイクロンのような自然災害は非常に少なく、国交の問題も無い。それなのに、人災だけは後を絶たない。その最たるものが汚職だ。

 2003年に労働党のルーラが大統領に選出され、2016年に弾劾され大統領の座を追われたジウマ・ルセフ大統領まで13年間労働党の政権が続いた。労働党になる以前も政治家の汚職というものはあった。しかし、公共工事の水増し請求、民間企業に要求するキックバックなどたがが外れたごとくの汚職に、明らかに経済は停滞した。このような労働党の行いにメスを入れたのが、ラヴァ・ジャットと呼ばれる大型汚職捜査だった。あまりにも複雑に汚職に絡んだ人々が多かったが、石油公社、民間業者、政治家、そしてついにはルーラ元大統領まで捜査の手が伸び収監に至ったのだ。

 1兆円とも想像を絶する金額の汚職に、国民がいい加減にしろという気持ちになるのも無理は無い。次期大統領に選出されたボウソナーロは小さな政党で、TVでの政治演説の時間もわずかながら、汚職撲滅、治安改善を掲げ、口コミ、SNSで人々の心をつかんでいった。決して単純にトランプのごとく極右で差別主義者なところが絶大な人気を得たわけではない。そして、ボウソナーロ次期大統領は早速、ラヴァ・ジャット作戦を推進させた最大の功労者であるセルジオ・モーロ判事を法務大臣に任命し、少しでもブラジルが正しい道に進んでいくことを国民は期待しているところだ。

 さて、サッカー界にこの影響はどう来るか?経済の低迷により、若手の良い選手は少し活躍をしたらブラジルに留まること無く、すぐに海外に出てしまう。そうやって選手を移籍させて資金を手に入れないとクラブはやっていけないからだ。

 経済が活性化すれば、同時にブラジルサッカー界も活性化することが期待されるのだが、ちょうど来年からCBF(ブラジルサッカー連盟)は45歳の若い会長が交代することになった。前の二人の会長は汚職で一人はアメリカで自宅収監。もう一人はFIFAから追放処分。と散々な有様でこの数年というもの国際的な発言権も全く効力を失っている。ひいては、ブラジルサッカーの弱体化につながった。新会長がどのようにブラジルサッカー界をリードしていくのか注目されるところだ。

 ブラジル全国リーグは終盤を迎えている。1位を走るのは70歳になった名将ルイス・フェリッピ・スコラーリが率いるパルメイラス。パルメイラスはスタジアム運営がうまくいき、国内では経営が安定しているクラブだ。やはり経営の安定はクラブの結果にただ、国内の力を南米大陸で発揮することはできなかった。決勝が行われているリベルタドーレス杯はブラジル勢のパルメイラスとグレミオが準々決勝で敗退しアルゼンチンのリーベル対ボカとなった。とはいえ、アルゼンチンも経済は同じく低迷中なのだが・・・。(大野美夏=サンパウロ通信員)

[ 2018年11月14日 20:00 ]

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