【コラム】城彰二

走力と体力+技術備えた青森山田イレブン

[ 2024年1月10日 10:30 ]

第102回全国高校サッカー選手権決勝   青森山田3―1近江 ( 2024年1月8日    国立 )

<青森山田・近江>優勝し喜ぶ青森山田イレブン(撮影・西海健太郎)
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 青森山田の勝因は、90分間走れる走力と体力に技術が備わっていたことだ。どちらかだけでは駄目。一度は追いつかれたが、慌てることなく自分たちのサッカーをやり続けて得点を重ねられたのはそのためだ。DFも山本や小泉ら1対1が強く、安定している。今年はJリーグに行く選手がいないものの、突出した選手がいない分、チームワークがいい。部員205人の競争を勝ち抜いた選手だけに、みんな走力も体力も技術も精神力もかなり高い。

 今季はプレミアリーグでも優勝した。リーグ戦とトーナメントでは戦い方が違う中で、全ての点でレベルが高いということだろう。黒田前監督がカリスマ性で選手を引っ張るタイプなのに対して正木監督は選手に寄り添うタイプ。コーチとして長年、黒田さんの良さを吸収し、違うタイプだからこそうまく受け継げたと思う。

 大会を通して、目についた選手を挙げるならまず市船橋のFW郡司。嗅覚とゴールセンスがある。静岡学園のFW神田はヘディングも相手を背負うプレーもできる。尚志のFW安斎はドリブルがうまい。DFでは飯塚の藤井と日大藤沢の尾野が将来楽しみだと感じた。

 今大会は強豪校が序盤で敗退する一方で、近江が決勝に進むなど、出場校の差が縮まった。選手個々も「Jクラブの下部組織の方が技術は上」と言われた時期もあったが、今は全国大会に出てくるチームはJクラブと差はない。(城彰二=元日本代表FW・スポニチ本紙評論家)

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