【コラム】海外通信員

市場で動き出しているレアル 放出候補にベイル、イスコ、マルセロら

[ 2019年3月22日 17:00 ]

3月16日セルタ戦、監督復帰初戦を勝利で飾ったジダン監督(レアル・マドリード)
Photo By AP

 アナウンサー「監督はジネディーヌ……」

 観客「ジダン!」

 3月16日、レアル・マドリードの本拠地サンティアゴ・ベルナベウで、またあの男の名が叫ばれることになった。昨季までの2シーズン半で、チャンピオンズリーグ三連覇含む9タイトル獲得に導いたジダンの名を……。

 レアルは今季、ジダンの後任にジュレン・ロペテギを据えたものの成績不振のため解任し、その代わりにBチームを率いていたサンティアゴ・ソラーリを昇格させたが、結局スペイン国王杯、リーガ・エスパニョーラ、チャンピンズリーグ優勝の芽は3月初旬で潰えることになった。これにより、ベルナべで辞任を求められるようになった会長フロレンティーノ・ペレスが打った手は、ほかでもないジダンの復帰だった。自身の消耗と、チームには自分のものとは異なる指導法が必要だとして昨季退団を決意したフランス人監督を、二回の電話で説得することに成功している。

 16日のセルタ戦、ジダン復帰の影響は大きく現れた。ソラーリの指揮下では冷遇されていたケイロール・ナバス、マルセロ、イスコ、マルコ・アセンシオ、ガレス・ベイルが先発出場を果たし、程度の差こそあれど、いずれも活躍を果たしている。観客はジダンの復帰はもちろんのこと、鳴りを潜めていた選手たちの躍動にも満足感を得て、自チームが2-0で勝利したスタジアムを後にした。

 試合後会見に出席したジダンは「私は全員を戦力に数えている」と語り、チームが今季終了までに戦うリーガの10試合で、所属選手をもれなく起用していく方針を語った。負傷者が続出していた影響もあるが、これまで先発メンバーが凝り固まっていたソラーリの頃とは反対の考えである。

 ジダンのそうした起用方針には、どのような意図があるのだろうか。一つには、ソラーリの時代にたまっていた一部の選手たちの不満を解消し、チーム全体の士気を高めることがあるだろう。そして同時に、来季を見据えての方針とも見ることができる。

 ジダンは復帰会見で「チームには変化が必要だ」と語っていたが、ここ数シーズンにわたって青田買いを繰り返していたレアルは、今夏に久々の大型補強に動くとみられている。そうなれば複数の選手を放出することも、必然だ。今後、全選手を起用していけば放出対象となっている選手の市場価値も引き上げられるか、少なくとも下がることはなくなる。ジダンが掲げた起用方針は、そうした面でも理にかなっているわけだ。

 マドリーの選手補強及び放出の報道は、現在毎日のように伝えられる。獲得候補にエデン・アザール、キリアン・ムバッペ、ポール・ポグバら、放出候補にベイル、イスコ、マルセロら……。実際にどうなるかは分からないが、レアルが久しぶりに市場を賑わせる予感は十分にある。

 そして今夏の選手補強や放出に、ジダンの意向は大きくかかわってくることになる。というのも、ペレスはジダンに復帰の電話をかけた際、今後の陣容をジダンに一存に任せることを約束したとみられるからだ。それこそアレックス・ファーガソン率いるマンチェスター・ユナイテッド、ディエゴ・シメオネのアトレティコ・マドリーのように……。ジダンが一度辞任した理由には、選手を自ら切り捨てられないその優しい性格もあったとされるが、今回はそこから一歩を踏み出すのだろう。

 ジダンは先のセルタ戦後「全員が必要」と語ったほか、「これは遊びじゃないんだ」との言葉も口にした。レアルは来季の変化に向けて、すでに動き出している。今季のタイトル獲得の可能性はほぼ潰えたが、ピッチ内外で見逃せない存在となりそうだ。(江間慎一郎=マドリード通信員)

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