【コラム】海外通信員

ロナウドに沸くセリエA ミラノ勢も積極補強

[ 2018年8月14日 12:15 ]

実戦デビューとなった練習試合でゴールを決めたユベントスのFWロナウド
Photo By AP

 クリスティアーノ・ロナウドのユベントス移籍によってにわかに注目度が高まったセリエA。

 レアル・マドリードに加入経験のあるあのアントニオ・カッサーノは地元紙のインタビューに「ロナウドは40ゴールを挙げるだろうし、2022年までユーベのスクデットは決まった」などと身もふたもないようなことを言ってた。ただでさえ7連覇中のところに、世界的なスターを引っ張ってこられたら、他クラブとの実力格差は拡大しかねないところ。だがプレシーズンの様子を見ていると、接戦になりそうな予感もある。他のクラブも、それぞれのやり方でチームの強化に動いているのだ。

 まずはミラン。中国人オーナーだったリー・ヨンホン氏が債務返済できず、保有権は資金の貸付を行なっていた米大手ヘッジファンドのエリオット社に移ることになった。しかしその後、実質のオーナー企業となった彼らはクラブの経営並びに運営の立て直しに着手した。まずは、フロントの改革。前オーナーのもとで経営を回してきたファッソーネCEO、ならびにその右腕となって強化を図ってきたミラベッリ強化部長の退陣に合わせ、強化部門の責任者としてレオナルド氏を招へいした。選手としてミランでの経験が長く、また引退後にはフロントしても活動をしてきたことから白羽の矢が立てられた格好だったが、かつてのミランを知る元選手の経営部門入りはムードを一気に変えた。

 それが現れているのは、イグアインの獲得であった。C・ロナウドの加入により押し出される格好となったところに、ミランのレンタル移籍のオファーを快諾。「こちらから何か働きかけたわけではない。ミランというクラブとその歴史に選手が魅力を感じたからだ」とレオナルド強化主任はイグアインの入団会見の場で語ったが、クラブの歴史を説得力を持って伝えられたのはやはりレオナルドの存在あってのことだろう。そのイグアインは、11日に行われたレアル・マドリードとの練習試合で移籍後初ゴールをしっかり決めた。昨季のミランは、ガットウーゾ監督の指導によって後半戦は安定していた。得点力のあるストライカーがいればさらなる上位進出も狙えたと言われていただけに、イグアインの加入は間違いなくプラスになるだろう。

 一方、チームが強化されているのはインテルも同じだ。レアル・マドリードからの移籍が噂されていたクロアチア代表MFモドリッチの加入は難しくなったものの、それでもチームの底上げを図るため補強が各ポジションでなされている。センターバックには後方からの組み立てにも長けるオランダ代表DFデ・フライを獲得、右サイドバックには先のロシアW杯でも活躍したブルサリコを補強。当初はガラタサライ行きの話があったものの、長友佑都と入れ替わるように加入した元ユーベのアサモアは、左サイドバックのみならずボランチもサイドのMFもこなすユーティリティプレイヤーとして台頭中。やや層の薄かった右のMFには左効きで得点力も高いイタリア代表のポリターノが、さらにローマからは、スパレッティ監督の信頼も厚い元ベルギー代表MFナインゴランも加入してきた。

 しかし、その中で一番のサプライズとなりそうなのが、20歳のアルゼンチン人FWラウタロ・マルティネスだ。テクニックがある上に俊敏で、非常に捕まえにくくシュートも上手い。前所属のラシンでは2シーズンの間に22ゴールを決め、アルゼンチンU−20代表でも活躍していた。インテルの元ストライカーであるディエゴ・ミリト氏の推薦もあってこの夏インテルに加入したが、新天地でもフィットし始めている。ナインゴランが故障中の間にトップ下のポジションで多くプレーし、11日に行われた練習試合アトレティコ・マドリード戦は左後方からのアーリークロスをジャンピングボレーで合わせて決勝点を決めていた。シーズンが始まれば同ポジションの主力はナインゴランにはなるだろうが、故障から戻る前に結果を出せば定位置確保も夢ではないかもしれない。

 名監督のアンチェロッティを招聘したナポリ、また各国で注目の若手選手を次から次へと獲得してきたローマなど、注目のチームは他にもある。近年とは少し違った熱戦が期待できそうだ。(神尾光臣=イタリア通信員)

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