船越英一郎 62歳で舞台初挑戦 「六十の手習い。ジタバタとあがく初老の姿見て」

[ 2023年6月6日 04:00 ]

舞台初出演が決まり、役者魂を燃やす船越英一郎(撮影・小田切 葉月)
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 俳優の船越英一郎(62)が、舞台に初挑戦する。山本周五郎の時代小説「赤ひげ診療譚」が原作の「赤ひげ」で、NHKドラマでも2017年からシリーズ4まで主演し続けた思い入れ深い題材だ。初主演舞台に向け、本紙の取材に「まさしく、六十の手習い。ジタバタとあがく初老の姿を見てほしい」と意気込んだ。

 「2時間ドラマの帝王」などの異名で第一線で活躍する大ベテラン。昨年デビュー40周年を迎え、もちろん、これまでも舞台出演のオファーはあったが「全部断ってたんです」と振り返る。学生劇には19歳の時に出演したが、デビュー以降は39歳まで小劇団を率いて、脚本や演出を担当。「商業ベースの演劇に対するアンチテーゼが小劇団活動。青二才ゆえの矜持(きょうじ)で、演劇には身を投じないと決めていました」と語った。

 その後、俳優業が軌道に乗ると、サスペンスドラマの撮影など年間スケジュールはぎっしり。17年からは、NHKの情報番組の司会を4年間務めた。「長い間舞台から背を向けてきたが、還暦の時に所属事務所から“新しいことを始めてみよう”と打診。今回の話につながりました」

 出演のオファー自体は約3年前に受けたもの。新型コロナウイルスの影響で延期となったが、アフターコロナの今だからこそ「赤ひげ」に大きな意味があると確信している。

 江戸時代の小石川養生所を舞台に、貧しく不幸な人々と愚直に向き合う医師たちの奮闘を描く物語。「当時の医者や市井の人たちにとって、全ての病がコロナのような未知なものばかり。病や命と向き合う意味を、改めて考えるきっかけになれば」と力を込めた。

 舞台は10月28日~11月12日に東京・明治座などで上演。現在は発声の基礎を培うため、パーソナルトレーニングなどで体づくりしている。舞台に挑むにあたり、心配なのは「トイレ」。「六十歳超えると近くて!1日10回以上行くこともあって困っちゃう」と頭をかく。画面越しではなく、生で演技するからこその悩みだ。

 客の前で汗をかき、リアルな姿を届ける。「この年齢でチャレンジができるなんて、役者冥利(みょうり)に尽きますよ」。新たなステージを前に、帝王がニヤリと笑った。(小田切 葉月)

 ≪ドラマ版とは違い完全なる原作の舞台化≫舞台「赤ひげ」は、今年創業150周年を迎えた明治座の記念公演。船越がこれまで演じてきたNHKのドラマ版ではなく、完全なる原作の舞台化となる。作品は12月14~16日に大阪・新歌舞伎座でも上演。「笑えて泣けて、心震わせるような、ハートウオーミングな作品にしたい」とアピールした。

 ◇船越 英一郎(ふなこし・えいいちろう)1960年(昭35)7月21日生まれ、神奈川県出身の62歳。俳優の船越英二さんと元女優の長谷川裕見子さん夫妻の長男。82年のTBSドラマ「父の恋人」でデビュー。在京民放5局の2時間ドラマに全て主演したほか出演多数。現在はフジテレビ「テイオーの長い休日」で“元2時間ドラマの帝王”役で主演を務める。1メートル81。血液型B。

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