「岸辺露伴は動かない」第3期 演出の渡辺一貴氏「凄みが増した」

[ 2022年12月25日 08:00 ]

ドラマ「岸辺露伴は動かない」で主人公を演じる高橋一生(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】俳優の高橋一生(42)が主演するNHKドラマ「岸辺露伴は動かない」の第3期が26、27の両日、放送される。一昨年末の第1期、昨年末の第2期に続いて演出を務めた渡辺一貴氏は「ますますパワーアップしていると思う。今回の2作はかなりメッセージ性の強いものとかなり娯楽性の強いもので、岸辺露伴の違った一面を見ていただける」と話す。

 放送されるのは第7話「ホットサマー・マーサ」(26日後10・00)と第8話「ジャンケン小僧」(27日後10・00)。第1期、第2期に続いて泉京香役で飯豊まりえが出演し、第7話には若い女性・イブ役で古川琴音、第8話にはファンの少年・大柳賢役で柊木陽太がゲスト出演する。

 渡辺氏はこれまでとの違いについて「原作の荒木飛呂彦先生の言葉をお借りすれば、凄みが増した。露伴はいつも自分から危険に飛びこむが、第7話も第8話も、謎に対する向き合い方が第三者的ではなく、直接的に敵と対峙し、命の危険にさらされる。自分自身がどっぷりと入ってゆき、悩んだり苦しんだりする。それが、凄みが増して見える理由かもしれない」と説明する。

 第7話「ホットサマー・マーサ」は荒木氏の原作漫画の最新エピソード。露伴が「バキン」と名付けた子犬を連れて散歩に出かけたところ、見知らぬ神社に迷い込み、巨木の洞に入ると不思議な現象に見舞われる。

 「この話に登場するイブは『シリーズ最強の敵』と呼べるかもしれない。イブ自身は何かにとりつかれているとか不思議な力を持っているわけではなく生身の人間で、露伴が生身の人間に最も追い詰められるというところがこのエピソードの肝だと感じる。愛情とその裏返しの嫉妬、そこから生じる狂気のようなものを、演じる古川琴音さんが的確にしかも増幅して表現してくれて、凄いイブになっていると思う」と話す。

 第8話「ジャンケン小僧」は漫画「ジョジョの奇妙な冒険」の中のエピソード。露伴の前に現れたファンの少年がジャンケンをしようと提案し、行く先々に現れて挑んでくる。

 「私自身が『ジョジョの奇妙な冒険』の世界を映像にしたいと思うきっかけになったエピソードで、3年目に満を持してやらせていただいた。ジャンケン小僧を演じられる子役がいなければ実現できなかったが、いろんな方とお会いし、柊木陽太くんに出会えたので、やる覚悟ができた。柊木くんは私より大人だと思えるくらいの落ち着きを持っていて、じわじわと来る怖さを表現できると思った」と話す。

 3期目となり、高橋一生が演じる露伴の変化も見どころになる。

 「演じているのは同じ一生さんだが、1期、2期とは見え方が違うと思うし、それは今回も同様だ。一生さんがこの2年間、いろんなお仕事をされて積み重ねてきたものをどんどん上乗せして露伴を通じて表現していただいている感じがする。過去の6作と見比べて、変わっているところを楽しんでいただければと思う」

 飯豊まりえが演じる泉京香と露伴の恒例のやりとりも見どころの1つだ。

 「今回は2人の関係にもちょっとしたトラブルが起きて、これまでの関係とは少し違う展開になる。そのあたりも興味を持っていただけると思う」

 新たな露伴像と新展開に期待する。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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