寺島実郎氏 日銀の事実上の利上げ「黒田日銀10年の挫折と失敗」「アベノミクスの大きな問題点が一気に」

[ 2022年12月25日 08:58 ]

東京・赤坂のTBS社屋
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 評論家の寺島実郎氏が25日、TBS系「サンデーモーニング」(日曜前8・00)に出演。日銀が20日の金融政策決定会合で大規模な金融緩和策の修正を決め、長期金利が0・5%程度まで上昇することを容認したことに言及した。

 長期金利は、従来は0・25%程度だった。黒田東彦総裁は記者会見で「利上げではありません。景気には全くマイナスにはならないと思いますし、引き締めるつもりはありません」と悪影響を否定した。黒田氏は9月の会見で、長期金利の上限引き上げは利上げに当たるのかとの質問に「それはなると思う。明らかに金融緩和の効果を阻害するので考えていない」と明言したが、今回は「利上げではない」と説明を一変させ、市場機能の改善が狙いと強調した。しかし市場は利上げと受け止め、円高が進んだほか、長期金利が急上昇し、日経平均株価は大幅続落した。

 寺島氏は「黒田日銀10年の挫折と失敗をわれわれは目撃しているわけですよ。しかも敗北を転身と言い換えた旧陸軍の言葉を思い出すような有り様」と指摘し、「何がポイントなのかっていうと、あまりにも政治化してしまった中央銀行ということ。つまり政府の意向をくんで、まるで子会社のように日銀が異次元金融緩和、金融をじゃぶじゃぶにしてですね、デフレからの脱却、株価を上げ円安に持っていくという方向感に走ったと。次に財政出動、財源はほとんど赤字国債を日銀に丸投げにする。それでついに国債の5割を中央銀行が持っているなんていう国、世界広しといえども、もう日本だけですよ。尋常ならざることになっている」と述べた。

 そして、「それでも大丈夫だっていう人がいる。経済というのは信頼なんですよ。もし大丈夫だと思っていても、例えば財政規律をしっかり守っているのかと。投機筋なんかは、じっと見つめているんですよ。日本の経済産業自体が前向きのイノベーションに立ち向かってるのかと。さらに日銀が本当の中央銀行の役割をしっかり果たしているのかと」と言い、「こういうものが揺らいで、信頼を失ってしまったら一気に日本国債とか日本円の価値というものは棄損する危険があるわけですよ」と持論を展開。「それをわれわれ今年、英国で目撃したんですよ。ですから数字の上では日本の方がはるかに危うい構造になっているんです、GDPに対する公的債務の額なんていうのがね。要するにアベノミクスの大きな問題点が一気に噴出してきているんですよ。来年に向けて日本の経済産業どうするのか、真剣に方向転換しなきゃいけないとことに来ていると思います」と自身の見解を述べた。

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