豊島九段 渡辺名人下し4勝1敗 さあ羽生九段と決戦!22日に直接対決

[ 2022年11月16日 04:50 ]

<王将戦挑戦者決定リーグ戦>渡辺名人(左)を下した豊島九段(撮影・久冨木 修)
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 将棋の第72期ALSOK杯王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)挑戦者決定リーグは15日、東京都渋谷区の将棋会館で1局を指し、先手の豊島将之九段(32)が渡辺明名人(38)=棋王との2冠=を113手で下し、4勝目を挙げた。豊島は22日の最終一斉対局で5勝0敗と首位を走る羽生善治九段(52)と対戦。勝てば相星となり、藤井聡太王将(20)=竜王、王位、叡王、棋聖含む5冠=への挑戦権を懸けたプレーオフになだれ込む。

 最後まで冷静沈着だった。「苦しい局面が多く、悪い手も出てしまった」と豊島が顧みる本譜では不思議な一手が出た。ほぼ互角の中盤戦、69手目の▲2三歩。日本将棋連盟公式棋譜速報が示すAI勝率は47%からなんと58%へと11ポイントもアップした。人工知能の判断は基本的に相手の悪手で上昇するが、手番で評価が高まるとは、まさに解析不可能。リードを奪った豊島は消費時間でも圧倒的優位を保つ。最終盤は「手拍子で指してまずいことになった」と一瞬青ざめたものの、たっぷりと時間を使って修復に成功。終局近くはくどいほどの確認作業をこなし、さらに中座してタメを入れる慎重さ。最後はプロらしく「詰めろ逃れの詰めろ」をかけ、名人を投了に導いた。

 これで4勝1敗。藤井王将への挑戦切符は22日の直接対決以降に持ち越された。7番勝負出場のためにはプレーオフを含め2連勝が必要だが、羽生には26勝20敗と勝ち越している。「あと1週間、しっかり準備して、精いっぱい戦いたい」と、眼鏡の奥から力強い視線を投げかけていた。(我満 晴朗)

 ≪渡辺名人1勝5敗終戦「これからに生かす」≫すでに陥落が決まっている渡辺は1勝5敗でリーグを終了。前王将の肩書からは程遠い成績だった。この日も優位に立つ場面でも追い込み切れず、豊島が1時間27分を残している局面で1分将棋に突入せざるを得ない苦しい将棋。「(今リーグは)まずい将棋が多かった。この現状を、これからに生かしていきたい」と話した。

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