「舞いあがれ!」大瀬埼灯台シーン NHK制作統括「3人の絆が強くなったと感じた」

[ 2022年11月16日 08:30 ]

連続テレビ小説「舞いあがれ!」で、大瀬埼灯台で貴司(赤楚衛二)に舞(福原遥)と久留美(山下美月)が声をかける場面(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】16日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第33回で、ヒロインの舞(福原遥)と幼なじみの久留美(山下美月)が五島・大瀬埼灯台で、失跡していた貴司(赤楚衛二)と出会う場面が描かれた。

 制作統括の熊野律時チーフプロデューサーは「大瀬埼灯台ロケは印象的だった。主にスタジオのセットで撮影していた3人があの場所で集った。灯台までの階段がとても急なので、福原さんも山下さんも息を切らせながら上り、赤楚さんのもとに駆けつけた。あの場面で舞と久留美と貴司はお互いがかけ替えのない存在であることを実感するが、演じる3人もあの場所だったからこそ、その実感を深めたと思う」と話す。

 五島市観光サイトによると、大瀬埼灯台は福江島の最西端に位置し、九州本土で最も遅い時間に夕日が沈む場所で、「日本の灯台50選」に選ばれている。最寄りの駐車場から灯台まで遊歩道が整備されているものの、遊歩道の往路(下り坂)は約20分、復路(上り坂)は約40分かかるという。

 熊野氏は「この週の台本を作る段階で、貴司が行く場所は大瀬埼灯台と決めていた。五島の中で唯一無二の場所だと思ったが、地元の方からは『風景は素晴らしいが、撮影するのは大変』と言われた。あそこまで機材を運ばなければいけなかったし、近くにトイレもないので、行ったら撮り終わるまで頑張らなくてはならなかった。でも、結果として、一日中、天気に恵まれ、ドローンも駆使して、きれいな夕日も撮影することができた。充実したロケになった」と振り返る。

 福原は先日のオンライン会見で、山下、赤楚との五島ロケについて「みんなの距離が縮まった気がします」と明かしていた。

 熊野氏は「3人はロケバスの中でも楽しそうだった。あのロケを通じて3人の絆が強くなったと感じた」と話す。

 第33回では、舞、久留美、貴司が舞の祖母・祥子(高畑淳子)と一緒に夕飯を食べる場面も描かれた。祥子が貴司のことを「変わりもんたいね」と断定した上で、貴司に「変わりもんで堂々と生きたらよか」と助言するシーンが印象的だった。

 熊野氏は「脚本の桑原亮子さんが書くセリフの良さが出たシーンだと思う。高畑さんが演じてくださっていることもあり、説教くさくならず、ありのままの自分で生きていけばいいということが当たり前のように伝わった。『ばんば』(祥子)のキャラクターが生きたシーンだった」と話す。

 翌日、貴司は浜辺で、自ら作った短歌を舞と久留美に見せる。「星たちの 光あつめて 見えてきた この道をいく 明日の僕は」。平易でありつつ、貴司の状況と心境を的確に表して力強さも感じさせる短歌だった。

 熊野氏は「桑原さんが作った。貴司が初めて作る短歌ということもあり、洗練されたものではなく心情がストレートに出るものが良いと思ったが、絶妙な短歌になった。桑原さんらしさがここにも現れた」と語った。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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2022年11月16日のニュース