十三代目市川團十郎、襲名披露口上で力強い決意 初「にらみ」披露に満員観客から大拍手

[ 2022年11月7日 18:09 ]

口上でにらみを披露する十三代目市川團十郎白猿(C)松竹
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 歌舞伎の大名跡を継いだ十三代目市川團十郎白猿(44)の襲名披露となる「十一月吉例顔見世大歌舞伎」(28日まで)が7日、東京・歌舞伎座で幕を開けた。市川海老蔵改め團十郎は夜の部で襲名披露の口上に臨み、「まだまだ未熟者で、先祖の足元にも及びませぬが、一生懸命努力し精進をしたいと思っております。市川宗家としての覚悟でございます」と決意表明、満員の観客から大きな拍手を浴びた。

 口上には親戚である松本白鸚をはじめ、歌舞伎界の重鎮である尾上菊五郎、片岡仁左衛門、中村梅玉、市川左團次が列座。團十郎の父で、2013年に66歳で亡くなった十二代目團十郎さんと「60年来の大の仲良し」だった菊五郎は「十二代目のうれしそうな顔がまぶたに浮かんでくる」としみじみと語った。

 左團次は「皆様にちょっとお願いがございます」と前置きし、「お父様の團十郎さんはもうこれより高みへ昇ることのない役者さんです。お父様は脇のほうへ追いやって、これからは八代目市川新之助さんのごひいきをお願い申し上げます」とユーモアたっぷりに祝福。團十郎の長男で、この日昼の部で初舞台を踏んだ堀越勸玄改め八代目市川新之助(9)へエールを送った。

 團十郎は先輩たちからの愛あふれる言葉に「とてもありがたい、素敵なお話を賜りまして、ありがとうござりまする」とお礼。そして口上の最後には市川宗家だけが行う観客をにらんで見得(みえ)を切る「にらみ」も披露。「ひとつにらんでご覧に入れまする」力強いにらみを披露すると、復活した大向こうから「成田屋!」の声がかかった。

 團十郎は昼の部では「勧進帳」に登場。夜の部では口上の後、歌舞伎十八番の「助六由縁江戸桜」で花川戸助六役を演じる。

 新之助はこの日昼の部「外郎売(ういろううり)」で初舞台を踏み、劇中での早口言葉もよどみなく披露。劇中の口上では「十二代目團十郎が作り、父十三代目が受け継いだ外郎売。その思いを私が継承します」と堂々とあいさつした。

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