円楽さん笑いで送り出し「六代目をしのぶ会」好楽ら一門が追悼の高座 “最後の舞台”国立演芸場で

[ 2022年10月29日 04:48 ]

円楽さんをしのぶ会で笑顔で話す(左から)鳳楽、好楽、円橘(撮影・篠原岳夫)
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 9月30日に肺がんのため72歳で死去した、落語家の六代目三遊亭円楽さんをしのぶ会が28日、東京・国立演芸場で行われた。当初は「五代目円楽一門会」による「六代目を囲む会」として円楽さんも出演予定だったが、「しのぶ会」となった。一門の三遊亭鳳楽(75)、好楽(76)、円橘(76)らが思い出話で追悼した。

 国立演芸場は、円楽さんの最後の高座となった舞台。緞帳(どんちょう)が上がると、スポットライトに照らされた円楽さんの写真が現れ、昨年8月に披露した演目「浜野矩随(はまののりゆき)」の音源が流れた。黒の羽織を着た好楽は、弔問で対面した時のことを振り返り「向こうには先代、歌さん(歌丸師匠)、談志師匠もいてにぎやか。“俺も後からゆっくり逝くから”って別れの言葉をかけました」と語った。

 4歳年下の“弟分”との、突然の別れから1カ月。この日の高座は好楽がトリを務め「円楽が見てるから、一生懸命やろうと思いました。“相変わらず下手だね”と言われてそう」と笑った。披露した「胡椒(こしょう)の悔やみ」は、笑い上戸の男が兄貴分にお悔やみの作法を教わる話。演劇関係者は「人情話ではなく、笑える明るい話。円楽さんを笑って送り出そうという気持ちで、今回選んだのではないか」と話した。

 鳳楽は「楽ちゃんとは修業時代から一緒。先代から“捨ててこい”と言われた酒をこっそり空き地に埋めて、稽古が終わった後で、掘り起こして2人で飲んだのはいい思い出」と“秘話”を披露。円橘は終演後の取材で「まだ迎えに来なくてもいいよ!」と上を見上げて呼びかけた。

 劇場入り口には献花台が設けられ、ロビーには「三遊亭円楽」と書かれためくりや楽屋ネタ帳、8月の高座復帰初日に撮影された木札などが展示され、多くのファンも円楽さんとの別れを惜しんだ。

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