川本真琴 「サブスク考えた人は地獄に…」発言、謝罪の真意説明「知ってほしいこともあるなって」

[ 2022年10月29日 16:01 ]

川本真琴(1997年撮影)
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 シンガー・ソングライターの川本真琴(48)が29日、TBSラジオ「井上貴博 土曜日の『あ』」(土曜後1・00)に出演。9月にツイッターに投稿したサブスクリプション(定額聴き放題)への恨み節の真意を説明した。

 パーソナリティーのTBS・井上貴博アナウンサーが投稿について話を振ると、川本は「まず一番最初にサブスクに関してはいつも思っていたこと、音楽のサブスクに関してはあったんですね。そのことを言う人ってあんまりいなかったんですよ」と前置きしたうえで、「ある時、七尾旅人さんて方が、ミュージシャンなんですけど、サブスクに関してツイートしてまして。それを書いてるのを知って、ちょっとあたしも前からそのことについては考えてたなと思って。で、ツイートしたんですけど」と明かした。

 「CDからサブスクに今もう完全に移行しているんですが、サブスクになって早い話、サブスクからの利益っていうのは物凄く少ないんですね」とし、「で、そうなってくると、あたしみたいな個人で制作活動してる人は、今まではCDの売り上げがあって、それを次のレコーディングの制作費にしていたんですね。今のサブスクの利益は少なすぎて次の制作費が生めないんですね。そうなってくると限られたレコーディングとか、ミュージックビデオ撮りとかも限られたものになってきてしまうんですよ。前だったらバンドでやれたものが、ギター一本でしかできなくなったり、スタジオに入ってレコーディングできたものが家で録るしかなくなったとか。そういうふうにだんだん質も落ちて来ちゃったり。制作費っていうのは凄い大切なんですね」と説明した。

 「そういう事情がありまして。そういうので、結構私の知り合いなんかも個人でやってる方っていうのは、辞められちゃう方とかもいるんですよ。仕事として成り立たない職業だっていうふうに音楽は、と思ってる方もいらっしゃって」とした。ただし、これは個人で制作活動を行っている場合だとし、「メジャーの方とか特に制作費っていうのは会社に出していただけるんですね。もちろん私も制作費を出してもらえる場合もあるんですよ。そうじゃない場合もあったり、半分半分で制作費を出すとか、そういうこともあるんですね。大ヒットしてる方っていうのは再生回数が多いんですよ。だから必ず制作費も全体的に会社的にも回収して、会社入ってない方も利益を回収できると。で次のことができるっていうふうになってるんですけど」と続けた。

 だが「大ヒットしてない音楽でも凄く素晴らしい音楽っていうのもやっぱりあって。再生回数が少なくても素晴らしい音楽っていうのはあるんですよ。で、そういう音楽が作りづらくなっていってしまうっていうことにやっぱ今なってしまっているのを、本当にリスナーの方とか知らないだろうなと思って、ちょっと知ってほしいなと思ったんですね」と強調した。

 この状況を都市開発で昔ながらの店舗がなくなってしまうことなどに例え、「やっぱり大ヒットしなくても“あの店(音楽)なんか良かったんだよね”っていうのも残したいという気持ちもありですね」とも話した。

 「ただ、サブスクって制作者側にもいいところもあるんですよ。海外の人が聴いてくれるっていうことに関しては凄くサブスクって良くて。あと新しく音楽をやり始めるって方でもパッとサブスクって音楽出せるんで発見してもらえるっていうチャンスがあるっていうか。そういういい点もやっぱりあるので。サブスクが悪いっていう否定はしてないんですよね。ただ、知ってほしいこともあるなってことなんですよね」と語った。

 川本は「皆さんが思ったよりも話をして下さってたんですよ。世の中で。なんでそれを見てああ、なるほどなと思ったことも凄かったんですよね。自分でもどうしていいか分からない部分で今あるんで。こうしたらいいんじゃないとか聞いてなるほどなと思いましたけどね」と発言後の状況についても説明。「これからいい音楽を作り続けていくためにどうしたらいいかっていうのを考えるきっかけに、あたしにもなりました」と振り返った。「サブスクはサブスクでなんか楽しむものとしてあっていいと思うんですけど、制作者側はちょっと困難なことになっておりますという事なんです」と再び語った。

 ツイートの反応については「コメントとかリプライとか凄い来ちゃって、それを全部読むのって大変なんですよ。でも応援のメッセージくれてたりとかもあったり、すっごい批判のメッセージもあったりして、心が消耗してしてしまうというかで。自分の仕事って曲を作ることなんで、あんまりそっちばっかりにずっと心がいっちゃってても、ダメだなと思って」と川本。予想していたかと聞かれると、「予想というか、ほんとにちょっと書いたことだったのが、次の朝起きたら、いいね3.5万みたいになってて。2度見しちゃいました。大分焦りました」と驚いたとした。

 川本は9月20日未明、自身のツイッターに「サブスクでの利益がどれだけ少ないかを知ってほしい」「サブスクというシステムを考えた人は地獄に堕ちてほしいと思っている」「じゃあ、サブスクやめればというかもだけど、CDデッキを持ってない人も多くなって、どないしろという現実」とサブスクへの思いをつづっていた。

 9月26日には議論となっていることを受け「サブスクは宣伝でしかないと言っているけど、サブスクだとしても、私は音楽を宣伝という扱いに思ったことはないです。今、音楽活動をしようとしてる方が個人的に音源を出す場合、サブスクだけの売上では活動を続けていくのが難しい状況であることを伝えたかったです。これは、私だけの話でなく、レーベル側の経営にも関わってきます。サブスクで楽しんでもらいたいとおもっていますが、そういう現実があることも知ってほしかったです」と意図を明かしていたが、それでも「言い過ぎ」「口が悪い」「サブスク利用者のことを考えてほしい」という声が上がっていた。

 その後、発言から約1カ月が経った10月21日、川本は「サブスクの件で、強い言葉を使ってしまい、不快な思いをさせたことをお詫びします」と謝罪した。「音楽家の知人がサブスクに対してとても怒っていて、つい口調が荒くなってしまいました」とし「共感して書いたツイートでしたが、言葉遣いには気をつけようと思います」と反省した。

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2022年10月29日のニュース